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特別編 京太郎とハギヨシ 時期はインハイ以降です。一部インハイ中のシーンがあります。また、日記形式ではありません ※完璧執事なハギヨシさんが好きな方は読まないことをおすすめします ▲月●日 昼 ハギヨシ「京太郎くん、庭の掃除ですが…」 京太郎「終わらせておきました。倉庫の方も少し散らかっていたんで片づけておきました」 ハギヨシ「ありがとうございます。では私はお嬢様と少々外出するのでその間に屋敷の掃除と食材の買い出し、それから花壇の水やり」 ハギヨシ「それら全て終わってから、各道具の整備までお願いしますね。ああ、整備が終わったら皆さんにお茶とお菓子をお出しして、一緒に休憩してください」 京太郎「はい、分かりました」 純「……しっかしあいつすげーなー」 一「ん?あー、京太郎か。今休んでる人達の分のバイトだったよね」 純「あの仕事量、普段ハギヨシさんがやってる分全部だろ。他のメイドや執事なら1日かけても終わらねーのに」 一「半日、下手したら数時間でやっちゃうからねぇ。今いる他のメイドや執事からの評判もいいし」 純「ハギヨシさんなら2時間……いや、あのレベルは無理か。でもハギヨシさんレベルになる日も遠くねーよな」 一「ハギヨシさんが色々教えてて、今回のことでハギヨシさん自らの提案でバイトとして来てるらしいよ。確か、友人がバイトとして来てくれる、って言ったってさ」 純「へー。あのハギヨシさんの友人ね。どうやって仲良くなったんだか」 一「さぁ?ネット麻雀とか、タコスづくりとかがきっかけって言ってたし、案外共通点があるんじゃない?」 インハイ団体戦、数日前 京太郎「くっそ、タコスを早朝に売ってる店なんてさすがに東京にもねーよ」 京太郎「いっそ手作りするかな……でもタコスの作り方なんて知らないし、そもそも料理自体ほとんどしないしな……」 ハギヨシ「おや?京太郎くん、どうしたんですか?」 京太郎「ハギヨシさん、実は…」 説明中 ハギヨシ「…なるほど、でしたら私が教えましょう」 京太郎「いいんですか?」 ハギヨシ「ええ。友人が困っているんですから、助けるのは当然のことです」 京太郎「あ、ありがとうございます!」 ハギヨシ「では、簡単な基本から教えて、そこから簡単なレシピを教えましょう。まず調理室を借りることからですね」 京太郎「じゃあ俺ちょっと行ってきます」 数時間後 京太郎「今日はありがとうございます。おかげで助かりました」 ハギヨシ「いえいえ。それにしても京太郎くんはかなり筋がいい。どうです?執事などを目指しては」 京太郎「あはは。ハギヨシさんにそう言ってもらえるなんて光栄ですね。そうですね、アリかもしれませんね」 京太郎「それにしてもこのレシピ、分かりやすくて作りやすい、いいレシピですね。そうだ、少し聞きたいことがあるんです」 ハギヨシ「なんでしょう?大体のことは大丈夫ですよ?」 京太郎「ちょっと待ってください。確か、この漫画のレシピなんですけど……鞄の奥にあったかな?確か……うわっ!?」ドサドサッ ハギヨシ「大丈夫ですか?手伝いましょう」 京太郎「すいません、鞄ひっくり返しちゃって。あーあ、中身が全部出ちまったかな」 ハギヨシ「ああ、この本で……」 京太郎「え?ハギヨシさ……」 ハギヨシ「こ、これは……」金髪ロリ物エロ本、貧乳露出物エロ本 京太郎「!?」 京太郎(し、しまった!!あれは副会長に餞別にと押し付けられたエロ本!!しかもよりによって衣さんと一さんそっくりの女優の表紙!!) 京太郎(くっ……趣味じゃないけどエロ本自体の質や満足度が高いから捨てずに置いたのが墓穴だったか!!) ハギヨシ「…………京太郎くん」 京太郎「は、はい!!そ、それは……」 ハギヨシ「なかなかいい本をお持ちですね」 京太郎「…………はい?」 ハギヨシ「いや、さすがにここまで衣様や一様にそっくりとは……私でもやや似ている程度を見つけるのが限界だったのに……」ペラペラ ハギヨシ「しかも単なるロリ、露出だけでなく、他のページにはその趣味が無い人間でも手が進むほどのもの……」ペラペラ ハギヨシ「そして細かく多種多様なニーズに対応し、かつ1枚1枚のクオリティも高く、本そのもののボリュームもある……素晴らしい」パタン ハギヨシ「これほどの物を、一体どうやって……」 京太郎「それ自体はとある人からもらったものです……ロリや露出は趣味じゃないですけど、素晴らしいと感じました」 京太郎「俺本来の趣味は……こっちです」巨乳物エロ本、巫女物エロ本、ナース物エロ本 ハギヨシ「ほう……これもなかなかのもので……私はこちらを」メイド物エロ本、姉妹丼物エロ本、ライトSM物エロ本 ハギヨシ「少々マニアックなものもいくつかありますが、今はこれくらいですね」 京太郎「ほほう、これはこれは……しかし意外ですね。ハギヨシさんがここまでとは」 ハギヨシ「ふふふ、私も男でしてね。あまりこういうことを話せる機会がないもので、ついはしゃいでしまいました」 京太郎「いえいえ、男なら当然のことですよ……おお、この子はまた智紀さんにそっくりで」 ハギヨシ「見つけるのに苦労しましたよ。どうです?そちらはお貸しするので、こちらを借りても」 京太郎「どうぞどうぞ。そうだ、実はインハイでこの本そっくりの子を見つけまして」 ハギヨシ「興味深いですね。詳しくお願いします」 京太郎「ええ、確か…」 ▲月●日 夕方 ハギヨシ「ただいま戻りました。これは旦那様から預かった本日の給料です」 京太郎「ハギヨシさん、ありがとうございます」 ハギヨシ「そしてこれは先日借りたものです……しかしまた白糸台の渋谷さんにそっくりでしたね」和服巨乳物エロ本 京太郎「ええ。和服がまた似合っていたでしょう?」 ハギヨシ「素晴らしいです。そちらはどうでした?」 京太郎「病弱ながらも精一杯のことをする……病弱娘物、想像以上に素晴らしいですね」 京太郎「新しいことに気付けましたよ。また千里山の怜さんにそっくりなのがいいです」病弱娘物エロ本 ハギヨシ「いえいえ。多少マニアックですが」 京太郎・ハギヨシ『そこがいい』 ハギヨシ「……ふっ、私はいい友人に巡り合えました」 京太郎「それは俺もですよ」 ハギヨシ「これからも、よろしくお願いします」ガシッ 京太郎「こちらこそ、よろしくお願いします」ガシッ 透華「ハギヨシに京太郎さん?あら、こちらに居たんですね」 衣「んー?2人とも握手か?どうしたんだ?」 智紀「……友情の握手?」 透華「みたいですね。ハギヨシもあんな楽しそうに笑って……嬉しい限りです」 衣「うむ。家族もいいが友達もいいからな」 智紀「ん……私達も、どう?」 透華「いいですわね」 衣「わーい」 京太郎とハギヨシ、様々なことが違う2人ではあるが、2人の男は硬い友情で結ばれた者同士である エロ本の貸し借り、性癖の暴露などのハイリスクなこと、硬い友情で結ばれた者同士にしかできないのだから カンッ!!
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特別編 side阿知賀 細かいところはイメージしましょう ○月×日 最近、みんなとかなり打ち解けてきた気がする 初めは女子だけの部に男子1人だったから警戒されたりと色々あったが、今やみんなが俺を仲間の1人とみてくれるのは嬉しいことだ 嬉しいんだが……無防備すぎる 元女子校っていうんだからそりゃそういう期待はしてたよ? でも!最近やっと信用してくれた仲間相手にそういうのは駄目だろ!! 穏乃なんかは無防備で無自覚すぎる ジャージ上だけってのはもうなんなん。穿けよ!めくりあげたくなるだろ!! 制服の時もはしゃいで、何度白が見えたか!一回思いっきり性的なイタズラして自覚させてやろうか 憧なんかは普通に綺麗だから困る それまでは一番警戒心があったくせに、今は普通にボディタッチとか多いからな ふとした瞬間可愛かったり、色気があったりで押し倒したくなったのは1回や2回じゃない 押し倒して全力で気持ちいいことしてやろうか!! 灼さんとか普段クールなのに不意打ち気味で笑顔とか見せるからさぁ!! ああもう可愛いんだよ!!年上!?それがいいんだろうが!! 小さいけど年上っぽく振る舞ってるそのアンバランスさで持ち帰りたくなるわ!! 玄さんはさぁ……いい加減自分のおもちを見ようか おもちおもち言うけどその本人がすばらなおもちを持ってるだろうが!!揉んでやろうか!! 玄さんのおもちが一番って耳元で囁きながらエンドレスで揉んでやろうか!!多分年上だけど可愛い反応してくれんだろうなぁ!! 宥さんを……脱がしたい 厚着してるけどその下がすばらしいというのは分かってるんだから!!1枚1枚焦らすように脱がしたい!! 最終的にマフラーだけ残してその上で性的な意味で温めてやりたい!!あったか~い、って事後に言わせたい!! ああくそなんでみんな可愛いんだ 全員押し倒したい 穏乃「え、えっと……」カオマッカ 憧「ふきゅ……」カオマッカ 灼「か、可愛いって……」カオマッカ 玄「お、おもち……」カオマッカ 宥「きょ、京太郎くん……」カオマッカ 穏乃「こ、こんなこと考えてたなんて……あぅぅ」 憧「ま、待ちなさい!!ホラ!勝手に日記見た私達が悪いんだから!!」 灼「そ……そう?」 憧「そうよ!だから、これは見なかったことにする!!」 憧「その……こんな内容で……こんな……こんな……ふきゅぅ……」カオマッカ 玄「あ、憧ちゃんが倒れたのです!?」 宥「み、みんな落ち着いてー!?」 翌日 京太郎「おーっす穏乃」 穏乃「お、おはよう京太郎……」 京太郎「お、おー。どした?なんかいつもより元気ないけど」 穏乃「だ、大丈夫大丈夫。なんでもないから」 京太郎「そうか?そういや今日はなんでジャージの長ズボン穿いてるんだ?」 穏乃「えっ!?」 京太郎「前はなんか履き心地が気に入らないとか言ってたのに…」 穏乃「な、ななななんでもない!!それじゃ先行くね!!」 京太郎「あ、おい!!……なんでダッシュで行ったんだ?」 京太郎「おーい、憧ー」 憧「ふきゅっ!?な、何!?」 京太郎「いや、この前の課題なんだけど……どした?顔赤いぞ?」 憧「え!?た、大したことじゃないわよ!!」 京太郎「そうか?あ、ちょっと動くなよ」 憧「え!?な、何!?ちょっと!?」 京太郎「よし、髪のゴミ取れた。でもお前の髪ってすげぇ綺麗だな。触ってても気持ちよかったぞ」 憧「き、気持ちいい……っ京太郎の馬鹿ー!!」 京太郎「お、おい!?なんだよ!!馬鹿って言われるようなことしてねーぞ!?」 京太郎「灼さーん」 灼「きょ、京太郎……何?」 京太郎「いや、今日の部活なんですけど。ちょっと放課後先生に頼まれごとされて遅れそうです」 灼「そう……分かった。みんなにも言っとく」 京太郎「はい……そういえば、どうやったら灼さんみたいにクールに振る舞えます?」 灼「え、えぇ!?」 京太郎「もうちょっと落ち着いて行動しろって先生に言われてて、どうすれば灼さんみたくクールになれるかと思って」 灼「し、知らな……」 京太郎「あ、灼さ……なんで走ってどっか行ったんだ?」 京太郎「玄さーん!!」 玄「きょ、京太郎くん……どうしたのですか?」 京太郎「いやぁ、さっきついに見つけましたよ!玄さんが言ってた3年生ですばらなおもちの先輩を!!」 玄「お、おもちの人?」 京太郎「えぇ!もう大きさも形も服の上から分かるくらいトップクラスで……あぁ、1回揉んでみたいなぁ」 玄「も、揉むの!?」 京太郎「?玄さんだって是非揉みたいって言ってましたよね?」 玄「も、揉むのは……無しでお願いー!!」 京太郎「く、玄さーん!?あの玄さんがおもちの話に食いつきが悪い……体調悪いのか?」 京太郎「宥さん、珍しいですね、こんなとこで会うなんて」 宥「京太郎くん……」 京太郎「まぁ宥さんなら居てもおかしくないですね。ここ、日当たりも良くてあったかいですし」 宥「う、うん。あったか~いとこ、好きだから」 京太郎「俺もあったかいですけど、しばらくここに居たんで今はむしろ少し暑いですね」 宥「そう?私はもう少しあったかくてもいいけど」 京太郎「まぁ、宥さんみたくはできませんし……ちょっと脱ぎますね」 宥「ぬ、脱ぐの!?」 京太郎「まぁ、1枚だけですよ。いや、これはもう1枚脱いでもいいかも……」 宥「あわわわわ……ご、ごめんなさい!脱がさないでー!!」 京太郎「宥さん!?脱がすんじゃなくて俺が脱ぐだけですよ!?……どしたんだ?」 京太郎「なんかみんな様子がおかしいけど、どうしたんだろうな」 そして彼は遅れて部室に着く そこで彼が忘れていった日記を発見し、また一悶着あったり…… カンッ!!
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特別編 執事と ※終わってしまった本編との関係も一切ない特別編です ※大体色んなとこを参考にしたりイメージだったりなので、理解できるかどうかは個人差があります ※深夜テンション。最後までこんなノリ 京太郎「裸エプロンに裸Yシャツ、尊いと思いませんか」 ハギヨシ「ほほぅ」 京太郎「やはりですね、ごはんにする?お風呂にする?それともわ・た・し?って言われたいでしょう!」 ハギヨシ「即お風呂でいただきますしますね」 京太郎「裸Yシャツ、朝起きたら自分のシャツを着ている、いいですよね」 ハギヨシ「こう、見えそうで見えないくらいがベストですよね」 京太郎「ちょっと恥ずかしそうにするとか、そういう恥じらいも合わさってまたよし!!」 京太郎「……どちらでも思うんですが、やっぱり巨乳がいいですね」 ハギヨシ「ほう」 京太郎「こう、エプロンの上からでも隠せないその大きさ」 京太郎「Yシャツが悲鳴を上げるその様、じっくり拝みたいですね」 ハギヨシ「それもまた正しいです」 ハギヨシ「ですが、貧乳も、貧乳の可能性もいいものですよ」 京太郎「貧乳の……可能性?」 ハギヨシ「決して忘れてはならない、心に刻むべき言葉があります」 『貧乳がいいんじゃない。貧乳なのを気にしているのがいいんだ』 京太郎「……素晴らしい、心に響きますね」 ハギヨシ「貧乳はステータス、なんてただの開き直りです。それはただの絶壁です」 ハギヨシ「本当に大事なんのはそう、気にしながらも、大事な人のために頑張る姿勢、それです」 京太郎「これは巨乳派な俺も貧乳を許せますね」 ハギヨシ「こう、不意に『小さくてごめんね?』なんて言われでもすれば」 京太郎「たまりませんね。この手で大きくしてあげたくなります」 ハギヨシ「……裸エプロンに裸Yシャツ、素晴らしいです」 ハギヨシ「が、常に更なる可能性の探求を忘れたはいけません」 京太郎「はい……俺、絶対に忘れません。あなたのおかげで学んできたことを」 紳士の心を、忘れずに 本当に、最後のカンッ!!
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『間もなく、個人戦一次予選を開始致します』 咲「凄い人数だね…」 まこ「個人戦は団体戦に出れん生徒も来るからのー」 和「相手が居なくてもソロプレイなら誰でもできますから」ハアハア 京太郎「はいはい話を逸らさないよー」 久「個人戦で全国に行けるのは3人。誰と当たっても、全力全開手加減無しで」 優希「さっすが部長! わかりやすいじぇー」 久「勝っても負けても悔いのないようにね!」 「「「「「はいっ!」」」」」 久「あ、須賀君」 久「男子は会場違うから。急がないと間に合わないわよ」 京太郎「うおぉいっ!」ダダダッ! 京太郎「ぜー、はー…ま、間に合った!」 京太郎「清澄高校の須賀京太郎です、登録お願いしますっ!」 「え、えっと京太郎君? 登録はあっちだけど…」 京太郎「いいっ!?」 「もう…こっち、急がないと時間なくなっちゃうよ」ギュッ 京太郎「うおっと…ありがとうございます」 「お礼なんて別に…そ、それより行かないと!」 京太郎「そうっすね…あの」 「な、何?」 京太郎「手、綺麗ですね」ジッ 「えええっ!? そそそ、そんなことっ!」 京太郎「お、あれが登録所か。すいません小鍛治さん、行ってきまーす!」 健夜「あ…もう、元気だなあ」クスッ 健夜「男子は人数が多いから、一日目でも負けがあるよ」 京太郎「うげ、マジっすか…二日目まではなんとか…」 健夜「ゆ、夢はおっきくないとダメだよ!?」 京太郎「それじゃあ全国優勝で!」グッ 健夜「スケールが変わりすぎだよ! もう…」 健夜「京太郎君…手、貸してくれるかな」 京太郎「? はい」スッ 健夜「…頑張ってね」ギュッ 京太郎「はいっ!」 京太郎(なんて言った手前、恥ずかしい姿は晒せねーよな) 京太郎「よろしくお願いしますっ!」 京太郎(さーて…いい牌来いよ?)カチャ ※京太郎の戦績は安価で決まります。戦績次第では全国編の展開に変化が生じる予定。 コンマの数値で1~4位を決定します。おっきい順。 ↓1 京太郎 ↓2 相手E ↓3 相手R ↓4 相手O ・コンマゾロ目で数値にプラス10 ・48 69 の場合はプラス30 ・下四桁が1919 4545 0721 の場合、???? 一日目は全3回戦。 1回戦は1,2,3位で勝ち抜け。2,3回戦は1,2位で勝ち抜け。 582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 01 41.89 おまかせあれ! 583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 02 01.68 すばら! 584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 02 27.35 でえい 585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 02 29.11 あ 京太郎1位! 京太郎「おしおしおしっ! 幸先いいぜ!」 京太郎「2回戦はこのあとすぐか…へへ、咲たちに昼の時間、自慢できる結果にしないとな!」 健夜「良かった…でも、気を抜いたらだめだからね」ホッ 京太郎「よろしくお願いしますっ!」 コンマの数値で1~4位を決定します。おっきい順。 ↓1 京太郎 ↓2 相手E ↓3 相手R ↓4 相手O ・コンマゾロ目で数値にプラス10 ・48 69 の場合はプラス30 ・下四桁が1919 4545 0721 の場合、???? 589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 07 27.42 はい 590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 07 53.34 おまかせあれ! 591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 08 13.78 ぬ 592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/04/29(火) 20 08 21.39 そもそもなぜすこやんが……? 京太郎2位! 京太郎「あ、ありがとうございました…」フー 京太郎(あっぶねー…300点差で2位かよ) 京太郎(ま、勝ちは勝ちだよな!)ヘヘッ 健夜「ひ、ひやひやするよ…なんだか自分が打ってる時より怖いなあ」 ※一旦茶番タイムへ 京太郎「小鍛治さん! 勝ちましたよ、俺!」 健夜「うん、おめでとう…今日はあとは、午後の3回戦だね」 京太郎「ありがとうございますっ。じゃあ俺、部活のみんなに伝えてきます!」 健夜「あ……もう、あんな子だったかなあ?」 健夜「もっと頼りになる気がしたんだけど…ツッコミの人が少ないからかな…」ハア… 健夜「でも、あれが本当の京太郎くんなんだよね」 健夜「ふふっ、かわいいなあ」 健夜「応援するからね。京太郎君」 京太郎「よっ、飯食ってたか。元気いいなー」 咲「京ちゃん! なんだか元気だね」 和「個人戦はどうでしたか?」 優希「安心しろ! 優希ちゃんハンドでチビ京太郎を慰めてやるじぇ!」ワキワキ 京太郎「ふっ…その必要は、ないっ!」 まこ「お、とゆーことは」 京太郎「2回戦勝ち抜けですよ! 3回戦進出っす!」 久「あらま…それはまた、今後の指導のし甲斐がありそうね」 咲「おめでとう!」 優希「ほほー、めでたいめでたいじょー」 和「おめでたですね」 京太郎「待て」 和「どこの女ですか!?」 京太郎「落ち着け!」 優希「そーなるとタコスの補充ができないじぇ…むむむ」 京太郎「ああ、そう言うと思って。ほれ」タコス 優希「むぐ…タコス?」 京太郎「冷めても美味いタコスだとさ。匂い控えめで気配りバッチリだぜ」 優希「ほへー、京太郎よくやった! えらいぞ!」 咲「凄いね。京ちゃんが作ったの?」 京太郎「いやいや、途中の屋台で執事さんが作ってたんだよ」 まこ「なんじゃそら…」 久「ちょっと考えられないわねえ」 和「須賀君、常識の範疇で物を言って下さい」キリッ 京太郎「どの口々が言いやがる…」 京太郎「っと、そろそろ時間っぽいな」 咲「京ちゃん頑張ってね!」 優希「タコスの陰から応援しといてやるー」 和「頑張って下さいね。いえジョーク抜きで」 久「全力でね。冷めたら負けよ!」 まこ「後でな。また元気よく報告頼むからのー」 京太郎「うっす! 行ってきます!」 京太郎(ふー…やっぱ緊張するけどさ) 京太郎「よろしく、お願いしますっ!」 コンマの数値で1~4位を決定します。おっきい順。1,2位で勝ち抜け。 ↓1 京太郎 ↓2 相手E ↓3 相手R ↓4 相手O ・コンマゾロ目で数値にプラス10 ・48 69 の場合はプラス30 ・下四桁が1919 4545 0721 の場合、???? 622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 44 24.74 * 623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 44 28.23 おまかせあれ! 624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 44 41.91 ニワカは相手にならんよ! 625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 20 45 03.07 へ 京太郎2位! ※合宿編、全国編で展開に変化 京太郎「ありがとうございましたぁっ!」 京太郎(……) 京太郎「……っしゃあああ!」 『男子個人戦、1日目を終了――!』 『明日の4、5回戦で全国行きへの切符を手にする選手が決定します!』 健夜「……わあ」 健夜「なんだか、胸が熱くなってくるよ」 健夜「懐かしいなあ…あんなに喜んで、楽しそうで」 健夜「……うん」ギュッ 健夜「私も、頑張らないとね」 京太郎「小鍛治さん! 俺、やりましたよ!」 健夜「うん、見てたよ。おめでとう…でもまだ明日があるからね?」 京太郎「うぐ…な、なんか腹が痛いんですけど…」 健夜「緊張するよね。初めての試合ならなおさら」 健夜「明日も見に来るからね? 格好いいところ見せて欲しいなあ」 京太郎「うえっ!? し、仕事とかいいんですか…?」 健夜「新幹線使えば間に合うから大丈夫だよ」 京太郎「そっすか…明日も頑張りますから、応援頼みます!」 健夜「うん、じゃあまた明日…」 健夜「はー…」 健夜「こーこちゃん? ごめん、今夜の打ち合わせ、明日にしてもらえる?」 咲「京ちゃん! 凄いよ!」 久「ほーんと。もしかしたらもしかするかもね?」 まこ「こりゃあ京太郎の方がわしより強いかもしれんのう…」 優希「京太郎のタコス力も相当のもんだな!」 和「知りませんでした。須賀君はとんだテクニシャンですね、突き合って下さい」 京太郎「いやあ…すみません、明日も応援行けなくて」 まこ「何言うとるんじゃ。こっちのほうが申し訳ないっちゅーんじゃ」 久「正直私が応援したいくらいなんだけどね…こういう時、会場が違うってのが困るわ」 咲「私は心の中でずっと応援してるからね!」 優希「私はタコス場の陰から見守ってるじょー」 京太郎「ありがとな!」 和「もう…放置プレイだなんて、悪くないですね…」モジモジ ~2日目~ 京太郎「ふー…あと2回。やべえよ…き、緊張が…」 健夜「だ、大丈夫? ええとこういう時は人の字を書いて」 「ふん…金髪雑魚が存外勝ち抜いていると聞いたけど、とんだ偶然だ」ザッ 京太郎「う、うえ?」 健夜「あ…龍門渕高校の」 「力を感じない。力へ至る道筋も見えない…」 「それなら後は人の意思。お前の意思だけしか頼れないんだ」 「…お前は、衣が思ったよりも強い。だから…その」 衣「頑張れと言っているっ!」 京太郎「……おう、ありがとな!」 京太郎「それじゃ、行ってきます!」 『さあ男子個人戦準決勝! 上位二人が勝ち抜けとなります!』 京太郎「…おしっ!」パンッ! 京太郎「お願いしますっ!」 コンマの数値で1~4位を決定します。おっきい順。1,2位で勝ち抜け。 ↓1 京太郎 ↓2 相手S ↓3 相手Y ↓4 相手D ・コンマゾロ目で数値にプラス10 ・48 69 の場合はプラス30 ・下四桁が1919 4545 0721 の場合、???? 662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21 23 06.91 ころたんイェイ~ 663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21 23 07.84 ほ 664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21 23 19.04 ほい 665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/04/29(火) 21 23 23.68 せい 京太郎1位! 決勝進出! 京太郎「……ほへ?」 京太郎「マジで?」 『準決勝終了ー! ここに決勝進出の4名が決定しました!』 『うち一人は女子団体戦で優勝した清澄高校! 今年は波乱の展開です!』 衣「これは…」ガタッ 健夜「力はないけど、そのぶん純粋に麻雀が楽しめてる…のかな」 健夜「私達にはもう、あんまり分からない感覚かもしれないけれど」 衣「……あ」 衣「そっか、キョータローは、麻雀をしているんだな」 健夜「うん……」 衣「……」 健夜「ねえ、良かったら今度一緒に打ってみない?」 衣「良縁か奇縁となるか…衣がお前に通じると思うか?」 健夜「さあ…」クスッ まこ「京太郎!」バシッ 京太郎「うおっ!? 染谷先輩、それに優希!」 優希「ちょ、おま、ほんとに凄すぎだじぇ!」 まこ「全国行きも全然ありえるとは…わしより強いっちゅうんはマジじゃったか」 京太郎「い、いや偶然というかなんというか…」 まこ「アホ。運も実力、しかし麻雀は運だけじゃダメなんじゃ」 優希「そういうことだ! 誇れ! タコス神に!」 京太郎「…ああ!」 まこ「次の決勝戦はわしらも観客席におるからの」 優希「頑張れ京太郎! 勝利祈願のタコスグミだじぇ!」 京太郎「ありがたいけど超まずそう…」 京太郎(小鍛治さんに天江、優希に染谷先輩…) 京太郎(多分他の人も見てるんだよな) 京太郎「…お願い、します」 コンマの数値で1~4位を決定します。おっきい順。1,2,3位で全国進出。 ↓1 京太郎 ↓2 相手S ↓3 相手E ↓4 相手X ・コンマゾロ目で数値にプラス10 ・48 69 の場合はプラス30 ・下四桁が1919 4545 0721 の場合、???? 704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21 49 05.16 ??「京ちゃ須賀京太郎は東京の白糸台に転校すべき……わた宮永照先輩が直々に指導すると言っていた」 705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21 49 07.82 すこやんイェイ~ 706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21 49 09.80 シャイニングツモ! 707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/04/29(火) 21 49 21.69 おまかせあれ! 「ご無礼。手を抜く気は無いんでね」「悪いなその牌だ…だが目はいいぜ、アンタ」「アンタ、背中…いや、いい色だ」 『決着ー! 個人戦決勝、全国行きが決定しました!』 『清澄の須賀選手、惜しくも全国を逃しましたが堂々の4位! まだ一年生の彼は今後が期待されます!』 京太郎「……はー」 京太郎「ありがとう、ございましたっ!」 京太郎「……」 京太郎「あー」 健夜「京太郎君」 京太郎「…すんません、負けました」ペコッ 健夜「ううん。頑張ってた。初めから見てたから、分かるんだよ?」 健夜「悔しいよね。泣きたいよね…」ギュッ 京太郎「……ふ、ぐっ…」 京太郎「お、れっ、本気で、がぢ、勝ちたくてっ!」 健夜「うん…いいんだよ。泣いていいの」ギュウッ 京太郎「…う、ううううううう!!」 優希「……あ、京太郎…」 まこ「惜しかったのー」ポン 京太郎「はは、負けちゃいましたよ。さすがに決勝はキツイっすね」 衣「……」ピョン 衣「奇しくもキョータローの思う所はよく分かる」 衣「1週間前の衣も同じ思いだった。だからキョータロー、衣おねえさんの胸で泣いていいぞ!」フンス 優希「…無い胸で泣けとは片腹大激痛だじぇ!」 衣「なにをー!?」 優希「なんだー!」 まこ「ったくわりゃあ…」 京太郎「…はは!」 京太郎「はいはい、二人ともそこまでにしとけー」 京太郎「咲! 和! 個人戦全国出場おめでとう!」 咲「う、うん…あの」 和「須賀君は…その」 京太郎「…ったく、なーに微妙な顔してんだよ」ワシャワシャ 咲「わわっ!」 和「あうぅっ」 京太郎「そりゃ全国行けたら嬉しかったけどさ。多分それと同じくらい、団体戦と個人戦でお前らが全国行くのが嬉しいんだよ」 京太郎「それともアレか? 男だし、全国行けないならお留守番かよ? ねえ部長」 久「んー? そうねえ…咲と和がそう言うなら留守番してもらおうかしら」クスッ 咲「そんなこと!」 和「ありません!」 京太郎「それに、お前らの面倒も見ないとダメだからなー。麻雀打つ暇もねーよ」 京太郎「だからさ…今年は全力でサポートするから、来年はもうちょっとマトモになってくれな?」 咲&和「「……えー」」 京太郎「そこは頷くだろ普通!」 京太郎「小鍛治さん、今日はありがとうございました」 健夜「ううん。約束だったし、私も京太郎君には色々教えてもらったから」 京太郎「へ? なんですかそれ…?」 健夜「ん、内緒。でも本当に格好良かったよ」 京太郎「いや…みっともないとこ、見せちゃって」 健夜「それも含めて格好良かった、ってこと。ときめいちゃったかも」クスッ 京太郎「へっ!?」 健夜「なんて、ね。それじゃあまたね…インターハイは私も解説で出るから、また会おうね!」 京太郎「……はいっ! ありがとうございましたっ!」 健夜「うん、バイバイ」 健夜「もうこんな時間かあ…こーこちゃん怒ってるかなあ」 健夜「…いいよね、たまには」 久「さ、そろそろ帰るわよー。準備はいい?」 和「須賀君、これを」スッ 京太郎「……ローション?」 和「須賀君のタイミングで準備してください」キリッ 京太郎「この展開見越してこれ持ってきたの?」 久「はいはい、そこも行くわよ」 咲「あ、はいっ」 京太郎「……」クルッ 京太郎「また来年、来るからな」 京太郎「…へへっ」 優希「あー! 京太郎がエロい顔してるじぇ!」 まこ「ま、まさかわりゃあ…建物フェチだったんか…」ゴクリ 咲「うぅ、建築物にはなれないよ…」グスン 久「廃墟ツアーとか行ってみる? ティッシュ持って」 和「廃墟なら穴もあるんですよね…」ゴクリ 京太郎「結局こんなんかよ!?」 京太郎「…ま、こんなんが丁度いいか」
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京太郎「こんなにたくさん女の子がいるんだ、俺にも彼女くらい出来るはず…」 京太郎「よし!じゃあハギヨシさんに告白しよう!」 京太郎「って男じゃねえか!ダメだろ!」 京太郎「まあ安価は絶対だしな…どうせ告白しても成功しないだろ…」 京太郎「それじゃあ行ってくるか…」 ハギヨシ「それで話というのは?」 京太郎「いや実はですね…」 京太郎「前からあなたの事が好きでした。付き合ってください。」 ハギヨシ「!?」 京太郎(やべー…言っちまったよ…) ハギヨシ「それは…本気で言ってるのですか…?」 京太郎「はい?」 ハギヨシ「本気で言っているのかと聞いているんです。」 京太郎「え、ええ…もちろんです。」 ハギヨシ「そうですか…分かりました…」 京太郎(怒らせちゃったかな…) ハギヨシ「実は私も貴方の事が好きでした。喜んでお付き合いさせて頂きます。」 京太郎「えっ」 ハギヨシ「それでは服をお脱ぎ下さいませ…」 京太郎「えっ?いやっ、ちょっ…やめ…」 大沼「何をしとるんじゃ!お前ら!」 京太郎「あなたは確か…大沼プロ!」 ハギヨシ「ちっ…邪魔が入ったか…」 大沼「まったく…近頃の若い奴は…ワシも一緒にやらせんか!」ポロンッ 京太郎「」 大沼「ほれ、さっさと尻を出さんか。」 京太郎「ちょっ…やめっ…」 ハギヨシ「お待ち下さい。私の方が先です。」 大沼「なんじゃと!老人に先に譲らんか!」 ハギヨシ「いいえ。こればかりは譲る訳にはいきません。」 京太郎(何なんだこいつら…) 大沼「さっさと譲らんか!この若造が!」 ハギヨシ「いいえ。こればかりは絶対に譲れません。」 京太郎「二人とも落ち着いて…」 大沼 ハギヨシ「うるせえ!黙ってろ!」 京太郎「(´・ω・ `) 」 ハギヨシ「分かりました。ならばどちらが京太郎様を満足させられるか勝負しましょう。」 大沼「ふん…小癪な…まあ良いだろう…」 大沼「それでルールは?」 ハギヨシ「お互いに挿れ合って先にイった方が負けという事でどうでしょうか。」 大沼「良いだろう…ワシに勝負を挑んだ事を後悔させてくれるわ!」 京太郎(今のうちに逃げよう…) 京太郎「やっと逃げてきた…まさか裸のまま追ってくるとは…」 京太郎「偶然警察の人にすれ違わなかったらヤバかったな…」 照「君は確か咲の高校の…」 京太郎「そういうあなたはチャンピオンの宮永照じゃないですか。こんなところで何を?」 照「それはこちらのセリフ。きみこそ何をしているの。」 京太郎「えーとですね…ちょっと危ない奴らから逃げて来たというか…そういうあなたは何を?」 照「「すがきょうたろう」とかいう咲にくっつく虫がいるそうなので始末しにきた。」 京太郎「えっ」 照「ところでまだ君の名前を聞いていなかったけど…」 照「君…名前は?」 京太郎「え…えーと赤木しげるです!」 照「アカギ…?どこかで聞いた事がある名前…」 京太郎「いやちょっと色々とやってるんですよ…はは…」 照「まあすがきょうたろうじゃないならいいよ。」 ハギヨシ「京太郎様…私達から逃げてこんなところで何を…?」 京太郎「お前…どうしてここに…」 照「おい…京太郎とはどういう事…?」 ハギヨシ「フフフ…今度は逃がしませんよ…」 京太郎(色々やべえ!こうなったら狂言を吐いて場を混乱させるしかない!) 京太郎「こいつが須賀京太郎です!錯乱して俺と中身が入れ替わったと思い込んでいるんです!」 ハギヨシ「なっ…」 照「そうなの?」 ハギヨシ「いやそんな訳無いでしょ!」 京太郎「やっぱコイツ錯乱してますよ!咲さんに手を出す前にやっちゃって下さい!」 照「よし…君たちホモセックスしよう…」 京太郎「うんうん!…って何だってええええええ!?」 京太郎「何でそんな事しなきゃいけないんですか!普通に始末すれば良いでしょ!」 照「いやだってコイツをホモにすれば咲に手を出さなくなるし….それに咲も京太郎にホモになって欲しいって言ってたからな。」 京太郎(咲…お前…) 照「さあ始めよう…逃げようとしたら…わかるよね…?」ギュルルルルル 京太郎「うう…」 ハギヨシ「( ´ ▽ ` )」 照「さあ早く」 ハギヨシ「wktk」 京太郎(もう終わりか…さようなら俺の童貞と処女…) 大沼「やめんかお前ら!」 京ハギ照「!?」. 京太郎(げええええ!よりによって今一番来て欲しくない奴が!) 京太郎(ん?待てよ…これを利用して…!) 京太郎「あのチャンピオン…ちょっといいですか?」 照「何…?」 京太郎「実は大沼プロはホモなんです。なので大沼プロとヤらせた方が色々と良いかと。」 照「そうなの…?ならそうしようかな…」 京太郎(よっしゃああああああ!) 照「さあ…早く始めて…」 ハギ 大沼「いやいやいや!」 照「…」ギュルルルルルル ハギ 大沼「はいいいい!」 京太郎(今のうちに逃げる!) 京太郎「やっと家に着いた…もう疲れた…」 京太郎(よく考えたら彼女を作ろうとしたらこうなったんだよな…もう彼女なんかこりごりだ…) 咲「あ!京ちゃんどこいってたの!」 京太郎「おう咲…ちょっと色々とな…」 咲「もう!心配させないでよ!すごく心配してたんだからね!」 京太郎「ごめん…」 咲「本当に悪いと思ってる…?」 京太郎「ああ…当然だろ。」 咲「ならキスして。」 京太郎「えええ?ドユコト?」 咲「本気で悪いと思ってるんでしょ?なら謝るかわりにキスして。ね…?」 京太郎(えーとつまりこれは告白ですか!?咲が!?俺に!?) 咲「早くしてよ…誰か来ちゃう…」 京太郎(こいつこんなに可愛かったっけ…?くそっ咲の癖に!もうやっちまえ!) チュッ 咲「んっ……はあっ」 京太郎(やっちまった…) 京太郎「…咲…何でこんな事を…」 咲「何でって?決まってるでしょ…京ちゃんが好きだからだよ。」 京太郎「そうか…………咲」 咲「何?京ちゃん?」 京太郎「好きだ。付き合ってくれ。」 カン
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355052532/ キーンコーンカーンコーン 京太郎「……むにゃ……んん……」 京太郎(あれ……俺いつの間に寝て……) 京太郎「……ふわぁあ……」 京太郎(うわ、肩いてー)コキコキ 「ねえ、部活決めたー?」「ううん、まだー」 京太郎(は……? 部活?) 「俺はやっぱり麻雀部かなぁ」「なんだよ、お前も福路先輩目当てかよーw」 京太郎(なんなんだ……この高校入りたての懐かしい感じは……) 京太郎(つか、あれ……? なんか教室の雰囲気がいつもと違うぞ……?) 京太郎(クラスの連中も見たことない奴ばかりだし……) 京太郎「うーむ……」 京太郎(いったいどうなってるんだ……?) 京太郎(ちょっと外の様子見てくるか……)ガタッ 京太郎「……」スタスタ ワイワイ...ガヤガヤ... 京太郎(ふむ……明らかにここ清澄じゃねえな) 京太郎(俺はいつの間に別の学校に紛れ込んだんだ……?) 京太郎「……」 京太郎(仕方ない。誰かに聞いてみるか……) ??「……」スタスタ 京太郎「あの……すみません」 ??「えっ、私ですか……?」 京太郎「ええ、ちょっとお聞きしたいんですが……ここって何高校でしたっけ?」 ??「へ……?」 京太郎「あっ……いや、そのですね……」 京太郎(お、俺はいったい何してんだ……自分の今いる場所の名前を聞くとか明らかに不審だろ……) 京太郎「え、えーっと……」 ??「ここは風越高校ですが……」 京太郎「え……か、風越?」 ??「はい。もしかして学外の方でしょうか? あ、でも制服……」 京太郎「ん……おわっ!」 京太郎(俺の制服が学ランからブレザーになってる……!? な、なんで……) 京太郎(つか、今この人風越とか言わなかったか……? 風越っつったら、地区予選で咲たちと戦った長野の名門校……) ??「えっと……どなたか先生をお呼びしましょうか?」 京太郎「ああ、いや結構です! 変なこと聞いてすみませんでした!」 ??「は、はぁ……」 京太郎「そ、それじゃ……!」 スタスタ... 京太郎(くっ……ますますわけがわかんねえ……) 京太郎(ていうか今の人……どっかで……) 京太郎「……ああああああああああああっ!!」 ダダダッ 京太郎「あの~! すみませ~ん!!」 ??「え……きゃあっ!!」 京太郎「っと……!! はぁ、はぁ……す、すみません」 ??「い、いえ……平気です」 京太郎「えっと、あの……あなたは福路美穂子さん……ですよね?」 美穂子「そ、そうですが……」 京太郎「やっぱり! なんで忘れてたんだ、俺!」 美穂子「え、えっと……」 京太郎「あ、すみません。つい興奮しちゃって……」 京太郎「実はですね……俺、なんでか知らないけど、気づいたらこの学校にいまして……」 美穂子「は、はぁ……」 京太郎「一体どういうことなんですかね……?」 美穂子「え……えっと……」 美穂子「―――つまり……居眠りから覚めたら全く別の高校にいた、ということですか?」 京太郎「はい。ちなみに今って何日ですか?」 美穂子「4月の7日ですけど……」 京太郎「ほ、ほんとですか!?」 美穂子「え、ええ……はっ、まさか……」 京太郎「はい、時間も遡ってますね……俺が元いた時間は6月の15日、長野地区予選が明けてすぐの頃です」 美穂子「と、とても信じられませんね……」 京太郎「俺自身、実感わかないっすよ……ていうかなんでこんな目に……」ガクッ 美穂子「き、気を落とさないでください……えっと……」 京太郎「あ……俺、須賀京太郎って言います!」 美穂子「須賀君……ですか。私は風越高校3年の福路美穂子です……って、これはさっきも言いましたよね?」 京太郎「福路先輩のことは俺も知ってますよ! なんったってあの名門風越麻雀部のキャプテンっすから!」 美穂子「そ、そんな大した身分ではありませんが……///」 美穂子「須賀君がいた高校はどこなんですか?」 京太郎「清澄っていうんですけど……たぶん知りませんよね?」 美穂子「ええ、ごめんなさい……」 京太郎「いやいや、別にいいですって! なにせ、今年が団体戦に出るの初なんすから!」 美穂子「まだ無名の高校、というわけですね」 京太郎「そうっすね。でもまぁ地区大会では……」 京太郎「っ!」ハッ 美穂子「? どうかしましたか?」 京太郎「い、いえ……なんでもないっす」 京太郎(今は地区予選も始まってない時期なんだよな……ってことは、予選通過したのがうちだってばらすのはさすがにまずいよな……?) 京太郎「そ、そういえば! 風越って女子高じゃありませんでしたっけ?」 美穂子「女子高、ですか? うちは創立以来ずっと共学制をとっていたと思いますが……」 京太郎「へえ……」 京太郎(ま、そうなるよな……じゃなきゃ俺はとっくに変質者扱いだろうし) 美穂子「あの……立ち話でもなんですし、よかったらうちの部室へ行きませんか?」 京太郎「部室って……もしかして麻雀部のっすか!?」 美穂子「ふふ……他にどこがあるっていうんですか?」 京太郎「そ、そうっすよね! すんません」 美穂子「いいえ。それじゃ行きましょうか?」 京太郎「は、はい!」 ――――――――――――――――――― スタスタ... 京太郎「……」チラッ 美穂子「……」 京太郎(しっかし……めっちゃかわいいなぁ、福路さん……) 京太郎(こんな美人さんと普通に会話できるなんて、夢にも思ってなかったぜ…… これだけでもこの変な現象に巻き込まれたかいがあったってもんだ) 京太郎(とりあえず今は情報収集だ……決してやましい気持ちなんてないからな?) 美穂子「須賀君、つきましたよ」 京太郎「! こ、これが風越麻雀部の部室……」 コンコン...ガチャ 美穂子「すみません、遅れました」 「「「「お疲れ様です、キャプテン!!」」」」 美穂子「ええ、みんなお疲れ様」ニコッ 京太郎「ぉお……」 京太郎(部室ひれー……ってか、部員の数すげー……うちとは雲泥の差だなこりゃ) 京太郎(しっかし今のハモり具合……福路さんの人望っぷりも並じゃねえな……) ??「こらぁっ!! 福路ッ!!」 京太郎「っ!」ビクッ 美穂子「は、はい……!」 ??「てめえ、私より遅れて部室にくるたぁいい度胸してんなぁ」 美穂子「す、すみません……」 ??「キャプテンって立場をもう少し自覚しろ!! てめえがそんなんだと、後輩に示しがつかねえだろうが!!」 美穂子「も、申し訳ありません……久保コーチ」 京太郎「こ、こ……」 京太郎(こ、こええええ~っ……こんな人がいんのかよ……) 京太郎「ふ、福路さん……大丈夫っすか?」 美穂子「え、ええ……ごめんなさいね」 久保「んあ? 誰だぁ、そいつは……」 美穂子「あ、この方は……その……」 京太郎「え、えっと! 麻雀部の見学にきました、1年の須賀京太郎っす! よろしくお願いします!」 久保「なんだ、見学かよ……んじゃ―――」 久保「池田ァ!!」 ??「にゃ!!?」 久保「お前、どうせヒマだろ? そいつの面倒見てやれ。福路はこっちへこい、少し話がある」 美穂子「は、はい」 京太郎「え……ちょ」 美穂子「ごめんなさい、須賀君。話が終わったらまた来るから」 美穂子「……華菜、須賀君のこと頼んだわよ?」 池田「ん……まぁ、キャプテンの頼みなら仕方ないし」 池田「……お前、名前はなんていうんだ?」 京太郎「あ、須賀京太郎っす」 京太郎(いやさっき言ったじゃねえか……) 池田「ふーん……」 京太郎「……」 池田「……わかった、ちょっと来いし」 京太郎(?? なにがわかったんだ? ……まぁいいか) 京太郎「……」スタスタ 池田「……みはるん、ドムっち、文堂! 新入りだし!」 京太郎「い、いや俺……まだ入部したとは……」 未春「あ、どうもこんにちはー」 京太郎「あ、どもっす」 純代「……」 京太郎(い、威圧感のある人だな……)ペコリ 文堂「1年の文堂星夏です。よろしくお願いします」 京太郎「あ、こちらこそ……」 京太郎(この人は同学年か) 池田「んで、私が風越のナンバー2……池田華菜だし!」 未春「もう、華菜ちゃんったら……こういう子なの、気にしないであげてね?」 京太郎「は、はい……」 池田「ふふ……さあ、打ってみろだし!」 京太郎「あれ、池田……先輩はいいんですか?」 池田「ん? お前じゃ私の相手にならないから、この三人で十分だし!」 京太郎「あ、そうっすよね……はは……」 京太郎(こ、こいつうぜえ……) ――――――――――――――――――― 京太郎「うーん……」カチッ 池田「はぁ!?」 京太郎「っ!」ビクッ 京太郎「あ、あれ……違いました?」 池田「違うとか以前にありえないし! なんで8索の方を捨てないし!」 京太郎(い、いや……手牌ばらすなよ!) 京太郎「す、すんません……」 池田「もういいし! ちょっとそこ変われし!」 京太郎「え、ええっ!?」 京太郎(な、なんなんだよちくしょう……) 未春「ちょ、ちょっと華菜ちゃん。それはあまりにもひどいよ……」 京太郎(こ、この人は天使だ……!) 池田「ひどいのはこいつの打ち方だし! 華菜ちゃんが手本を見せてやるんだし! ありがたく思え!」 京太郎(そ、それに比べてこいつは……)ピキピキ ――――――――――――――――――― 純代「……」スッ 池田「それロンだし! タンヤオ平和一盃口ドラドラの満貫だし! 」 純代「はい」 未春「あーもう。華菜ちゃんは相変わらず強いなぁ」 華菜「へっへーん、どんなもんだし! 見たか、新入り! これが王者の打ち筋ってやつだし!」 京太郎「さ、さすがっすね……」 京太郎(く、悔しいけどすげえ……風越ナンバー2の名は伊達じゃないってことか) 華菜「この華菜様がお前のことをこれからみっちり特訓してやるし!」 京太郎「い、いやだから俺……」 美穂子「……お待たせ、須賀君。どう? 部の雰囲気には慣れたかしら?」 池田「キャプテン!」京太郎「福路さん!」 池田「むっ……お前、キャプテンのことを軽々しくさん付けで呼ぶなし!」 京太郎「あ、すんません」 美穂子「いいのよ。むしろ親しみが籠ってるようで嬉しいわ」ニコッ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎(この人はなんてお優しい方なんだろう……! 女神だ……女神がご光臨召されたぞ……!!) 池田「ダメだし! ちゃんとキャプテンって呼ぶし!」 京太郎(ぐ……うっせーなこいつは……) 美穂子「それじゃ、間をとって『福路先輩』でどうかしら?」 京太郎「あ、じゃあそう呼ばせてもらいます!」 池田「なっ、それ全然間とってないし!」 美穂子「いいじゃない。華菜もそう呼んでいいから……ね?」ナデナデ 池田「う……わ、わかったし」 京太郎(こいつ、福路先輩には頭が上がんないのか……ぷふっ) 美穂子「あら、麻雀打ってたのね? どうだった?」 京太郎「あ、いや……俺は途中までしか打ってないんですけど」 池田「後半は私が代わって手本を見せてやってたんです!」 美穂子「あら、そうなの。でも、みんな強かったでしょう?」 京太郎「はい! やっぱ風越ってすごいなって思いました!」 美穂子「ふふ」ニコッ 池田「だろ? もっと褒めろし!」 京太郎(く、くそ……こいつ調子づきやがって) 京太郎「……俺ももっと強くなりたいっす」 池田「まぁムリだな」 京太郎「な、なんだとぉ!?」 池田「おっ、やるかだし?」 美穂子「や、やめなさい二人とも!」 京太郎「す、すみません……」 京太郎(やべ……ついカッとなっちまった) 美穂子「ほら、華菜も」 池田「ふ、ふん……私は本当のことを言ったまでだし」 京太郎(こ、こいつ……!) 池田「―――けどまぁ……私が鍛えてやるから、そしたらほんの少しはマシになるかもしれないし」 京太郎「え……」 美穂子「あら、じゃあ須賀君も入部してくれるのね?」パァア 京太郎「あ、いや、その……」 美穂子「?」ニコニコ 京太郎「うっ……」 京太郎(このまぶしいほどの笑顔……断れねえ!) 京太郎「はい……ぜひ入部させてください!」 池田「よし、許可するし!」 京太郎「なんでお前がいうんだよ!」 ハハハッ 美穂子「じゃあ決まりね。須賀君、入部届取りに行きましょうか?」 京太郎「あ、はい!」 池田「須賀、キャプテンに失礼のないようにしろし!」 京太郎「しねえよ!」 バタン 京太郎「ふぅ……」 美穂子「ごめんなさいね。でも、華菜も悪い子じゃないのよ?」 京太郎「え、ああ……はい」 京太郎(悪い子じゃない、ねえ……どうなんだか) 美穂子「あと須賀君、例のことだけど……」 京太郎「あ、はい」 京太郎(そういやすっかり忘れてたな……) 美穂子「須賀君はもちろん、元いた世界……といっていいのかしら?――に戻りたいわよね?」 京太郎「え、ええまぁ……」 京太郎(正直、こっちも悪くないんじゃないかと思えてきたけど……あの猫女以外は) 美穂子「でも今は戻り方がわからない……」 京太郎「そうっすね……」 美穂子「……正直私にもどうしたらいいのかわからないわ」 美穂子「けど、きっと戻る方法は見つかると思うの! だからその……あまり気を落とさないで?」 京太郎「は、はぁ」 京太郎(ま、あんま気落としてないんだけどな) 美穂子「私もできる限りの手助けはするから……ね?」 京太郎「あ、ありがとうございます」 京太郎(この人はほんと……誰に対してもこんな優しいんだろうな) 美穂子「いいのよ、だって……」クルッ 美穂子「須賀君はもう、私の大事な後輩なんだから」ニコッ 京太郎「っ!」バッ 京太郎(やばい……やばいだろ今のは……っ!!) 京太郎(お、おおおお落ち着け俺……動揺するな……)ドキドキ 美穂子「す、須賀君……?」 京太郎「い、いやなんでもないっすよ!! あはは……」 美穂子「そう? それじゃ、行きましょうか?」ニコッ 京太郎「は、はい!」 ――――――――――――――――――― こうして、俺の風越麻雀部での高校生活がスタートした――― ダダダッ 京太郎「す、すんません! 遅れました!」 久保「須賀ァ!! てめえ、なにしてやがんだ!!」 久保「外回り10週走ってこいッ!!」 京太郎「ま、マジっすか……」 久保「あぁ? なんか文句あんのか?」 京太郎「あ、いえ……ないっす」 久保「んじゃとっとと行けッ!」ゲシッ 京太郎「は、はいぃ!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「はっ、はっ……」 京太郎「くっそ……あの先公マジで女かよ……っ」 京太郎「つか、文化部なのに……外周って……っ」 ??「おっ……お前は須賀!」 京太郎「その声は……池田ァ!」 池田「いい加減さん付けしろし!」 京太郎「うっせーな……って、お前も外周かよ」 池田「うっさいし! ほんの2,3分遅刻しただけだし!」 京太郎「へ、ざまあねえな!」 池田「お前に言われたくないし!」ボカボカッ 京太郎「いてえよ!」 池田「それよりお前、もう見たのか?」 京太郎「なにをだよ」 池田「なにって部内ランキングだし!」 京太郎「部内ランキング……?」 池田「ここ一か月間の校内試合の結果を集計した、部内での実力順位だし!」 京太郎「いや見てないな……ってかそんなのあるのか」 池田「お前ほんとに麻雀部の一員かだし!」 京太郎「うっせ……でもそのランキングって何の意味があるんだ?」 池田「お前ほんとに無知無学だし……」 池田「いいかよく聞けし! そのランキングの上位5位までが今度のインハイ団体戦に出場できるんだし!」 京太郎「なっ……そういうことか!」 池田「私は絶対上位に入ってるから問題ないけど、お前はどうなんだし!」 京太郎「お、俺は……」 京太郎(風越麻雀部は女子の比率が圧倒的に多い……だが、少なからず男子部員もいる) 京太郎(全学年合わせて12人だったか……?) 京太郎(正直、俺はその中でも強い方とは言えない……同学年の奴にすら負け越す始末だ) 京太郎「俺は……きついかもしれない」 池田「なんだし、情けない奴だな! あれだけ私が鍛えてやったのに!」 京太郎「う、うっせえな! 俺だって努力はしてんだよ!」 池田「努力したなんて誰にでも言えることだし! 大事なのは結果だし!」 京太郎「池田のくせに偉そうなことを……!」 池田「お前、それ先輩に言う台詞かし!」 京太郎「うっせチビ!」 池田「なんだと、このでくの坊!」 京太郎「猫女!」 池田「金髪!」 京太郎「バカ!」 池田「無能!」 京太郎「……」ズーン 池田「そ、そんなに落ち込むなし……」 ――――――――――――――――――― 京太郎「ただ今戻りましたー」 池田「戻ったし」 美穂子「おかえりなさい二人とも、冷たい紅茶があるけど飲む?」 池田「わーい! ……って久保コーチは!?」キョロキョロ 美穂子「職員会議で今はいないから大丈夫よ」ニコッ 池田「よっし! それじゃいただきますし!」ゴキュゴキュ 池田「ぷはーっ! 生き返るし!」 美穂子「須賀君もどうぞ」コトッ 京太郎「あ、ありがとうございます!」 京太郎「……」ゴクゴク 京太郎「お、おいしい……!」 美穂子「そう、それはよかったわ」ニコッ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎(いつまでたってもこの人の笑顔には慣れないぜ……)ズズッ ワーワーガヤガヤ... 池田「あれは……男子の校内ランキングだし?」 美穂子「そうみたいね、須賀君はもう見た?」 京太郎「い、いいえ……まだです」 京太郎(……) 池田「見に行ってこないのか?」 京太郎「俺はいいよ……どうせランク外だ」 美穂子「……」 池田「お、お前なぁ……」 美穂子「須賀君」 京太郎「……? は、はい?」 美穂子「どうしてそんなことを言うの?」 京太郎「ふ、福路先輩……?」 美穂子「ランク外かどうかなんて見なければわからないでしょう? どうしてそれを確認もせずに諦めたりするの?」 京太郎「そ、それは……」 美穂子「……見てきましょう? 私も一緒に行ってあげるから」 京太郎「は、はい……」 池田「……」 スタスタ... 美穂子「須賀君、見える?」 京太郎「……んと……ぁ」 京太郎(なんだよ……やっぱランク外じゃん) 京太郎「……ランク外でした。やっぱり……」 美穂子「……そう」 京太郎「だから言ったじゃないですか。俺なんかどうせ……」 美穂子「須賀君!」 京太郎「っ!?」ビクッ 美穂子「結果はどうあれ、それを認めるのと認めないのとでは、とても大きな違いよ」 京太郎「福路……先輩……」 美穂子「結果を認めるということは、自分を見つめること。過ちを正すこと。次へ活かすことなのよ?」 美穂子「それをしないということは、自分自身から逃げているのと同じだと、私は思うわ」 美穂子「須賀君はそんな弱い人なんかじゃないでしょう?」 京太郎「……」 京太郎(そうだよ……なにやってんだ俺。福路先輩の言うとおり、俺はただ逃げてるだけじゃないか……!) 京太郎「先輩……すみませんでした、俺……」 美穂子「……」ニコッ 美穂子「須賀君、今の『ごめんなさい』は、あなたが、あなた自身の力で自分の間違いを認めたということ。それはとても素晴らしいことよ?」 京太郎「……はい」 美穂子「大丈夫、ちゃんと間違いを認めて謝ることのできるあなたなら、きっと頑張れるわ」ニコッ 京太郎「はい……福路先輩、俺がんばります!」 美穂子「ふふ」ニコッ 京太郎「……池田! 今から一局打とうぜ!」 池田「え……あ、ああ! 望むところだし!」 美穂子「……」ニコッ 京太郎「……」カチッ 未春「……これ、かな」カチッ 京太郎「吉留先輩、それロンっす!」バララッ 未春「あちゃー、そこで待ってたんだ」ガクッ 京太郎「へへ、すんません」 池田「……」 池田(……須賀の雰囲気がいつもと違うし。やっぱりキャプテンにお説教を受けたからかな……) 池田「……しかし、キャプテンがあんな風に怒るところは初めて見たし」 未春「え、キャプテンに怒られたの? 華菜ちゃん」 池田「私じゃないし! 須賀だし!」 未春「へえ……それは確かに意外だね」 純代「……ん」 京太郎「そうなんすか? たしかにイメージないっすけど」 未春「ほら、ここ風越麻雀部には久保コーチがいるでしょ?」 京太郎「はい……それがどうしたんすか?」 未春「久保コーチ……あまり大きい声では言えないけど、とても厳しいじゃない?」 池田「あ、みはるんそれコーチに言っちゃうし」 未春「ちょ、華菜ちゃん! やめてよ!」 池田「じ、冗談だし……そんなメガネ鈍く光らせて顔近づけないでほしいし」 未春「んもう!」 純代「……と、こんな具合に部員から恐れられている」 池田「ドムっちうまくまとめたし」 京太郎「まぁ、たしかに怖いっすもんね」 未春「うん……でもその代り、キャプテンは私たち部員にすごく優しく接してくれるでしょ?」 未春「コーチもたぶん私たちのためを思って叱ってくれる……でもそれだけじゃメゲちゃう子もいると思う」 未春「だからこそ、コーチがくれない『暖かさ』をキャプテンが与えてくれてるんだと思うの」 京太郎「なるほど……アメと鞭ってやつですか」 未春「なんかイヤな言い方だけど、つまりはそういうことだね」 池田「キャプテンはそういうこともちゃんと考えてるんだし」 京太郎「そっか……すごいんすね、福路先輩は」 池田「だろ?」 未春「華菜ちゃんが威張ることじゃないでしょ」 京太郎「でもそれじゃ、なんで俺を叱ってくれたんすかね?」 池田「悔しいけど……たぶん、それだけキャプテンが須賀のことを考えてくれてるってことなんだと思うし」 京太郎「俺のことを……?」 池田「勘違いするなし! あくまで『先輩として』だし!」 未春「キャプテンは優しいのは、ときに叱ることの大事さを知っているから」 未春「だからこそ、キャプテンは部員に優しくできるし、必要なときは叱ることもできる」 京太郎「その必要なときが、さっきだった……ってことっすね」 未春「うん」 京太郎「……そっか、俺もっと先輩に感謝しないといけないな」 池田「ああ、一日一回土下座してもいいくらいだし」 京太郎「マジでそうかもな……」 未春「大丈夫だよ。キャプテンだって須賀君が感謝してることくらいわかってるから」 京太郎「そ、そっすね」 純代「ん」 京太郎「しかし……」 未春「うん?」 京太郎「みんな、福路先輩のこと、本当に大好きなんすね」 未春「えっ///」 純代「……///」 池田「な、何を突然言い出すんだし!」 京太郎「いや、キャプテンもすごいけど、そのキャプテンを理解してる先輩らもすごいなぁって……」 京太郎「やっぱそれだけキャプテンのこと好きで、信頼してるってことじゃないっすか」 未春「……まぁそうなるかな」 池田「当たり前だし!」 純代「ん」 京太郎「俺も早く、それくらいキャプテンと信頼し合えるような仲になりたいっす」 池田「そうなるには、須賀はあとレベル50くらい上げないとだめだし!」 京太郎「わかんねえよ!」 ハハハッ ――――――――――――――――――― ガチャ 池田「あ、久保コーチが帰ってきたし!」 久保「ここに男子の部内ランキングを掲示してある! 全員確認したな?」 「「「「はい!!」」」」 久保「今日はもう解散とするが、代表に選ばれた者は、あとで話があるから残るように!」 「「「「はい!!」」」」 久保「それでは、今から女子のランキングを掲示する!」 ザワザワ... 未春「わ、私……大丈夫かなぁ」 池田「き、緊張なんてしてないし……!」 純代「……」ブルッ 京太郎「みなさん、自分を信じましょう!」 久保「女子の上位5名は私が直に読み上げる! 呼ばれたら返事をしろ!」 久保「まず1位……福路!」 美穂子「はい」 久保「2位……池田ァ!!」 池田「はいだし!」 久保「3位……吉留!」 未春「は、はいっ!」 久保「4位……深堀!」 純代「んっ!」 久保「そして5位……文堂!」 文堂「え……」 未春「あ、文堂さん……ランクインできたんだ!」 文堂「き、キャプテン……わ、私……!」ブルブル 美穂子「やったわね、文堂さん!」ダキッ 文堂「あ、ありがとうございます……! うぅ……っ」ボロボロ 池田「文堂がんばってたもんな……よかったし」 未春「そりゃもちろん、部員全員が一生懸命だったとは思うけど……」 純代「……文堂は常にひたむきで、真っ直ぐ前を向いていた」 京太郎「……」 京太郎(すげえな、文堂さん……俺と同じ1年なのに) 京太郎(俺も……負けてらんねえな)グッ 池田「須賀も文堂見習ってがんばれし」 京太郎「言われなくてもそうするよ!」 未春「その意気だよ、須賀君!」 純代「ん」 久保「以上の5名は先ほど言った通り、練習後も部室に残るように! それでは、解散!」 ガヤガヤ... 京太郎「じゃ、俺先に帰ってますんで。がんばってください!」 池田「おう」 未春「また明日ね、須賀君」 純代「ん」 ガヤガヤ... 京太郎「……うっし、帰るか」スタスタ 久保「おい、須賀ァ!!」 京太郎「っ!」ビクッ 京太郎「な、なんすか……?」 久保「お前ちょっとこっちこい!」 京太郎「え、ええー……」 京太郎(俺……なんかしたかな……) 京太郎「……な、なんでしょうか?」ビクビク 久保「あぁ、そこ座れ」 京太郎「は、はい……」 久保「……今度、部で合宿を行うことは知ってるな?」 京太郎「え、ええ」 久保「実は、代表選手は、その後も合宿地に残って追加の強化合宿を行う」 京太郎「そ、それが……?」 久保「……お前も出ろ」 京太郎「は、はぁ……って、ええええっ!!?」 京太郎「な、なんでっすか!? 俺、代表じゃないのに!」 久保「うぬぼれんな……別に私にはお前を鍛えようとか、ましてや代表入りさせようなんて気はない」 京太郎「はぁ……」 久保「お前には、マネージャーとして合宿で働いてもらう」 京太郎「ま、マネっすか……?」 京太郎(前の俺と同じじゃねえか……) 久保「あぁ……買い出し・掃除・洗濯・料理……」 久保「選手たちのために、合宿中、必要となるであろう些事を休む暇もなくやってもらう」 京太郎「うっ……」 久保「なんだ、不服か?」 京太郎「……」 京太郎(以前の俺なら、ここで首を横に振るんだろうな……) 京太郎(そんでいいようにこき使われて、んで終わるんだ……) 京太郎(そりゃ、マネージャーってのが大事な仕事なのはわかるし、それが選手たちを支える重要な役回りだってことも理解してる) 京太郎「……っ」 京太郎(でも……今の俺は……) 京太郎(もっと強くなりたい……!! そう思ってる……!!) 京太郎(もっと麻雀打って、いろんな人の打ち筋見て勉強して、んで……!!) 京太郎(来年こそはここ・風越の代表選手になってやりてえ……!) 京太郎「……久保コーチ……俺」 久保「ん? なんだ、辞退するか?」 久保「それならそれで一向にかまわない。お前の他にも頼める奴はいくらでもいるからな」 京太郎「いや……俺、引き受けます!!」 久保「……ほう、そうか。わかった」 京太郎「ただ、その代りに条件があります……!」 久保「あ……? 条件?」 京太郎「俺にも練習、参加させてください……!!」 久保「……」 京太郎「俺、ランキングでは下から2番目でした。だからもちろん代表にはなれない……わかってます」 京太郎「……けど! 俺、悔しいんす! もっと強くなりたいんす!」 京太郎「ワガママだってのはわかってます! 代表の選手たちに迷惑をかけるってことも!」 京太郎「でも、せっかく同じ合宿地に行くなら俺……強い人たちととことん打ち合いたい!!」 京太郎「だ、ダメ……ですか……?」 久保「……」 美穂子「久保コーチ……私からもお願いします」 京太郎「ふ、福路先輩……!?」 久保「……」 美穂子「須賀君の意志は確かなものだと思います……私は彼の気持ちを尊重してあげたいです」 池田「私も協力するし!」 未春「私も!」 文堂「わ、私も……!」 純代「……ん」 京太郎「み、みんな……」 美穂子「先ほど男子の代表選手の方たちからも聞いてきましたが、みなさん歓迎するそうです」 京太郎「せ、先輩たちが……?」 美穂子「ええ」ニコッ 京太郎(みんな……俺なんかのために……)グッ 久保「……お前ら、大事な大事な地区予選前、最後の合宿だぞ?」 久保「こいつの相手をしてる時間……もっと他の有意義なことに使うべきじゃねえのか?」 美穂子「……」 久保「……須賀、お前だってそうだ。さっき言ったマネの仕事と練習……本当に両立できんのか?」 京太郎「……」 久保「どっちかがおろそかになっただけで、選手全員に迷惑が掛かんだ……それわかってんのか!?」 京太郎「わかってます! 絶対に逃げ出したり、弱音はいたりしません!」 京太郎「だからお願いします!!」 久保「……」 美穂子「コーチ……須賀君の腕はまだまだ未熟ですが、彼との対局を有意義な時間にするかしないか…… それは私たち選手しだいだと思います」 美穂子「どんな対局にも意味はあります。学ぶ姿勢さえ怠らなければ、必ずそれは新しい発見につながると思うんです」 久保「……」 京太郎「……」 美穂子「……」 久保「……わぁったよ。許可する」 美穂子「……ありがとうございます」ニコッ 池田「よかったし、須賀!」バシッ 京太郎「え、ぁ……あ……」 京太郎「ありがとうございますっ、久保コーチ!!」ペコリ 久保「……ん。まぁ、がんばれよ」 未春「ふふ……」ニコニコ 文堂「やったね、須賀君!」 京太郎「ありがとう! 先輩たちも、ありがとうございます!」 純代「……礼などいらない。ともに高め合うのみ」 京太郎「はい……!!」 池田「そうと決まったら、さっそく強化合宿のスケジュールを組むし!!」 「「「「「おうー!!」」」」」 ――――――――――――――――――― そして強化合宿―――俺、いや俺たちは朝から晩までひたすら打ち込み、ときには温泉で一時の安らぎを得たりした 俺はやはり代表の選手たちにはそうそう適わず、見事なまでにフルボッコにされたが それでも、その中で得たものは大きかったし、最終日の対局では後半、文堂さんと激しく打ち合うなどの飛躍ぶりも見せた そして、ついに地区予選――― ――――――――――――――――――― 『―――圧勝ッ!! 風越高校――――ッ!!』 ガチャ 池田「楽勝!」 「おつかれっす!」「お疲れ様です!」 美穂子「お疲れ様、華菜」スッ 池田「ありがとうございます」 京太郎「よくやったな、池田!」 池田「もっと言えもっと!」 京太郎「よくやったなよくやったなよくやったな池田ァ!!」 池田「うるさいし! 黙れし!」ボカッ 京太郎「いてっ!」 久保「……福路」 美穂子「は、はい?」 久保「……」 美穂子「……久保コーチ?」 久保「……明日もこの調子でみんなを率いてやれ」 美穂子「……! はい!」 久保「……それと―――池田ァ!!」 池田「にゃあっ!?」 久保「なにがにゃぁだこの……」グリグリ 池田「にゃぁああああ……!!」 久保「へっ……よくやったな、次もこの調子で行けよ」 池田「へ……?」 久保「お前ら先戻ってろ」スタスタ バタン 京太郎「あの久保コーチが……」 池田「ほ、褒めた……?」 未春「やったね、華菜ちゃん!」 文堂「久保コーチ、すごくうれしそうでしたね」 美穂子「華菜の頑張りが認められたってことよ、よかったわね」ニコッ 池田「な、なんか逆に気持ち悪いし……」 京太郎「お前聞かれたら殺されっぞ」 ――――――――――――――――――― 京太郎「んじゃ、そろそろホテル戻りますか」 池田「今日は疲れたし! 早くお風呂浸かりたいし!」 文堂「このホテル、シャワーのみってなってますけど」 池田「え、なにそれ!? ふざけんなし!」 美穂子「まぁ明日一日くらい我慢しましょう……ね?」 池田「うぅ……ホテルマンに苦情申し立ててやるし……」 京太郎(ったく……男子の俺がいる前で風呂の話とかよく平気で……) ガヤガヤ... ??「……」スタスタ 京太郎「え……」 京太郎「っ!!」クルッ 京太郎「……ま、まさか……」 京太郎(そうだ……なんで今の今まで忘れてたんだ、俺……) 京太郎「さ、き……」 咲「……えっ?」クルッ 咲「今、私の名前……」 京太郎「……」 京太郎(なんでだ……言葉が出てこねえ……) 和「どうしました? 咲さん」 優希「ん、どうしたんだじぇ?」 京太郎「み、みんな……」 咲「あ、あの……私の名前、呼びましたか?」 京太郎「っ!!」 京太郎(そっか……そうだよな……) 京太郎(薄々は気づいてたさ……俺だって) 咲「……?」 京太郎(心のどこかで恐れてた……だから思い出さないようにしてたんだ……) 京太郎(今まで通りに事が進んでいくなら、いつかは知らなきゃいけないことだったはずなのに……) 和「咲さん……誰ですか? この人」ジロッ 咲「知らないけど……私の名前呼んできて……」 優希「こっちじっと見て、気持ちわるいじぇ……」 久「どうしたのー? 行くわよー?」 咲「あ、はーい!」 京太郎(……みんな……完全に俺のこと忘れちまってるんだな……) 京太郎(いや、忘れたんじゃない……俺なんて“いなかった”んだ……) 京太郎(だって、俺は……) 池田「どうかしたか、須賀?」 60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/10 02 44 17 ID WSJ5mdE10 京太郎「あっ、いや……なんでもない」 京太郎(そう……だって今の俺は……) 京太郎(……風越の一員だ……!!) 美穂子「そう、ならよかったわ」ニコッ 池田「早く行くし!」 京太郎「お、おう!」 京太郎(でも……これだけ、これだけは言わせてくれ……) 京太郎「咲……!!」 咲「え……な、なに?」 京太郎「……」 京太郎「がんばれよ、決勝!!」グッ 咲「……」ポカーン 京太郎「よし、行こうぜ」スタスタ 池田「ん? あぁ……」 京太郎(これでいい……これで……) ――――――――――――――――――― その夜・ホテル 京太郎「明日はついに決勝か……」 京太郎(……戦うのは俺じゃねえけど) 京太郎「……」 京太郎「俺が風越にきてから、もう2か月か……随分いろいろとあったな」 京太郎「……」 京太郎(俺は……このままでいいのか……?) コンコン 京太郎「はーい、開いてます」 「須賀君、入るわね?」 京太郎「え……」 ガチャ 美穂子「ごめんなさい、突然お邪魔して」 京太郎「ふ、ふふ福路先輩!? な、なんでここに!?」 美穂子「あ、もしかして本当にお邪魔だったかしら……?」アセアセ 京太郎「め、滅相もございません! ど、どうぞどうぞ!」 美穂子「あ、ありがとう」 京太郎「そ、それで……どうしたんすか?」 美穂子「ええ……ちょっとお話があってきたの」 京太郎「お、お話……?」 京太郎(お、お話ってまさか……)ドキドキ 美穂子「須賀君……さっき会場から出る途中で、ちょっと様子がおかしかったでしょう?」 京太郎「えっ……あ、あぁ……あれっすか」 京太郎(……んなわけねえよな……ええ、わかってましたとも) 美穂子「もしかして……あれが、須賀君の元いた学校のお友達……?」 京太郎「……ええ、そうです。さすが、察しがいいですね先輩は」 美穂子「……」 京太郎「あいつら、みーんなそろって俺のこと忘れちまってて……全く薄情な連中っすよ」 美穂子「……須賀君、やっぱり……」 京太郎「……」 美穂子「ううん……こんなこと聞くのは無粋よね」 京太郎「……」 美穂子「……須賀君」 京太郎「……なんすか、先輩」 美穂子「私ね……明日の決勝が終わったら、その……」 京太郎「……?」 美穂子「す、須賀君がいなくなっちゃうんじゃないかって……そんな気がして……」 京太郎「……俺が前の世界で記憶を失ったのが、その時点だからですか?」 美穂子「……」 京太郎「……ははっ、考えすぎですよ! 先輩は」 京太郎「俺はいなくなったりしません、だって俺は……」 美穂子「うん、わかってるわ……だけど……」 京太郎「……先輩、俺のことそんなに気にしてくれるんすね」 美穂子「だって……だって……」 美穂子「須賀君は……私の大切な後輩ですもの」 京太郎(大切な後輩……か) 京太郎「……先輩は、ほんとお人よしっすね」 美穂子「そんなことないわ……私は須賀君を失いたくないと思ってるもの。自分勝手でしょう?」 京太郎「……」 美穂子「須賀君は、本当は元の世界へ戻りたいと思ってるに決まってるのに……」 京太郎「……」 美穂子「……」 京太郎「……俺、先輩のこと好きっすよ」 美穂子「……えっ?」 京太郎「それに、池田や、吉留先輩や、ドムさん、文堂さん、久保コーチ……」 京太郎「他の部員の仲間も、みんな大好きです……風越さいこー!って感じです」 京太郎「こんなにもいい人たちに恵まれて……俺は幸せ者だと、心からそう思います」 美穂子「す、須賀君……っ」ポロッ 京太郎「……俺、ご覧のとおり麻雀の腕はまだまだ初心者の域を出ない様なレベルです」 京太郎「けど……先輩たちの指導のおかげで、以前に比べたら格段に成長できたなって……今なら自信を持って言えます」 美穂子「……っ……うぅ……」ポロポロ 京太郎「前いたとこではただのマネージャーでしかなかった俺が……今は少しでも頑張ろうって思えてる」 京太郎「これって我ながらすごいことなんじゃないかと思ってます……はは、自画自賛ですかね?」 美穂子「ひっく……そんなことない……そんなことないわ……っ!」ポロポロ 京太郎「そういってもらえると、すげえ嬉しいです」ニコッ 京太郎「俺……なんで自分がこんなことになったんだろうって、ふと考えたんです」 京太郎「たぶん……ただの出来事に意味なんてないんです」 京太郎「けど、先輩が教えてくれました……」 美穂子「……っ……?」 京太郎「意味なんていくらでも見つけ出せる……その人しだいだって」 美穂子「す、須賀君……っ」 京太郎「俺、ちゃんと自分だけの意味……見つけられたような気がします」 美穂子「……っ……うん……」 京太郎「俺……もし帰るか帰らないか選べるとしたら、たぶん帰ると思います……いや、帰らなくちゃいけない……そんな気がします」 京太郎「でも俺……その時が来るまでは、精いっぱい風越の一員をやり通します……!!」 京太郎「だから、どうか心配しないでください……キャプテン」 美穂子「……っ」ゴシゴシ 美穂子「……え、ええ! わかったわ……最後までよろしくね、須賀君」ニコッ ――――――――――――――――――― そして、決勝――― 『ついに始まりました、県予選決勝戦―――ッ!』 『泣いても笑っても全国に行けるのはこの中の1校のみ―――ッ!』 『今年はどんな戦いを見せてくれるのか―――ッ!』 美穂子「……コーチ、行ってきます」 久保「……あぁ、思う存分やってこい」 美穂子「……はい」 池田「キャプテン、ファイト!!」 未春「キャプテンならいけます!」 文堂「頑張ってください!」 純代「んぁッ!」 京太郎「先輩……」 美穂子「……須賀君、さよならはみんなで優勝した後でよ?」コソッ 京太郎「……! はい、がんばってください……!」 美穂子「……ありがとう。みんなも」ニコッ 美穂子「それじゃ、行ってきます―――ッ!!」ゴッ 『―――先鋒戦、開始!!』 ――――――――――――――――――― 美穂子(最後の戦い……いえ、ここからまた一歩踏み出すための戦い……!!) 美穂子(負けるわけには、いかないわね……)ニコッ ――――――――――――――――――― 美穂子『ロン、8600』 京太郎「すげえ、先輩!」 池田「当たり前だし!! だってあのキャプテンなんだし!!」 ――――――――――――――――――― 終局――― 美穂子「お疲れ様でした」ペコッ 純「くそったれ……」 睦月「うむ……」 優希「じょ……」 ――――――――――――――――――― 池田「お疲れ様です、キャプテン!」 文堂「やりましたね!」 美穂子「ありがとう、みんなのおかげよ」ニコッ 未春「ひっひっふー……よし」パンッ 京太郎「吉留先輩、ファイトです!」 美穂子「吉留さん、大丈夫よ。いつも通り、楽しく行きましょう」 未春「はい……!」 ――――――――――――――――――― 未春(と、息巻いたはいいけど……) 佳織「はぅ……みっつずつ、みっつずつ……」 未春(この人……予想以上に手ごわい……!!) 未春(……でも) ――――――――――――――――――― 久「インパチ……!!」 文堂「くっ……」 文堂(またですか……!!?) 久「ふふ……」ニヤッ 文堂「……」 文堂(だけど……!!) ――――――――――――――――――― 純代「ンァァアアアアアッ!!」 和「っ!!」 「……っ!」ビクッ 透華「な、なんなんですの……!?」 純代(ここで、負けるわけにはいかない……!) ――――――――――――――――――― 風越―――暫定2位! 久保「……ここまでいい調子で来てる」 池田「……」 久保「池田……おめえにできる精いっぱいをやってこい!」 池田「はいだし!!」 バタン 美穂子(……華菜) 京太郎(池田……頼んだぞ……!!) ――――――――――――――――――― 池田「――――ッ!!」 池田(ダメだ……全然歯が立たない……!!) 衣「ククク……」 池田(こいつ……私たちの全国への夢を……) 池田(邪魔すんなよ……っ!)ポロッ ――――――――――――――――――― 『大将戦、前半終了―――ッ!』 美穂子「……華菜っ!」ダダッ 京太郎「俺も行きます……!!」 ――――――――――――――――――― 池田「……」 スタスタ... 美穂子「華菜……」 池田「キャプ……それに須賀……」 京太郎「池田ァ……」 池田「すまんだし……私、勝てそうにない……」 池田「……この大会……この試合が、須賀との最後の思い出になるかもしれないのに……」 京太郎「なっ……!」 美穂子「華菜……あなた……」 池田「ごめんだし……昨日、須賀の部屋で二人が話してるのを聞いたんだし」 池田「信じられない話だったけど、事実なんだろ……?」 京太郎「……あぁ」 池田「くっ……!」 池田「なのに……私は……!」 京太郎「……! 池田ァ!!」 池田「……っ!?」ビクッ 京太郎「俺のことなんざ気にすんな! 変に気負って調子狂うのがお前の悪いところだぜ!」 京太郎「それに思い出に残そうとか、そんなくせえセリフいらねえっての……!」 京太郎「今日この日、みんなでこの舞台に来れたことこそが、すでに俺にとっちゃかけがえのない思い出だ……!」 京太郎「それに、お前や福路先輩たちとの思い出なんて……もう抱えきれないくらいたくさんあるんだからよ……!」 池田「須賀ァ……うっ……」ポロッ 「華菜ちゃん!」 池田「……み、みはるん……みんな……」 文堂「池田先輩、いつもの元気はどうしたんですか!!」 未春「華菜ちゃんは華菜ちゃんの信じるとおりにやって!!」 純代「ンンンンンンンンンッ!!!」ズドドドッドッ 美穂子「華菜……楽しみましょう、この盛大なお祭りを、みんなで」ニコッ 池田「……っ!」ゴシゴシ 池田「……はい!!」 ――――――――――――――――――― 池田「……」チラッ 衣「……ん?」 池田「……」ニヤッ 衣「……???」 池田(……楽しむんだ、麻雀を……!) シュッ...カッ! 池田「ツモ! 4000オールだし!!」 オオオオオオオオオオオ...!! ――――――――――――――――――― 美穂子「華菜……!!」 京太郎「へ、楽しそうな面しやがって……!!」 ――――――――――――――――――― 池田「ん……?」 池田(なんだ……さっきまで調子よかったのに……) 池田「……」チラッ 咲「……」 池田(……清澄?) シュゥッ...スッ! 池田「はっ……!」 バララッ 咲「ツモ……数え役満です」 池田「……ぁ」 『長野県大会決勝・終了――――――ッ!!』 ――――――――――――――――――― 池田「……」トコトコ 美穂子「か、華菜……!?」 京太郎「お前、何してんだ……?」 池田「……うぅ」 久保「てめえ……!」バッ 美穂子「コーチ……!!」 池田「うぅううう……」ボロボロ 久保「……チッ……みっともねえ! 堂々としてろ!」 久保「もしかしてお前は、私との約束……破ったっていうのかよ?」 池田「約束……」 久保『―――池田……おめえにできる精いっぱいをやってこい!』 京太郎「コーチ……」 美穂子「……」 池田「……ないし」 久保「……あぁ?」 池田「悔いはないし!! 楽しかったし!!」ニコッ 久保「へっ……泣きながら笑いやがって、きもちわりぃ!」 久保「ホテルの予約はとっておいた……お前ら行ってとっとと休んでこい!」 美穂子「あ、ありがとうございます……コーチ」 久保「それと、須賀ァ!!」 京太郎「は、はいっ!」 久保「……」 久保「―――お勤め、ご苦労さん」 京太郎「……」 京太郎「あ、ありがとうございました!!」 久保「……ん」ビシッ 京太郎「……ぁ、れ」フラッ 美穂子「す、須賀君……!?」 池田「須賀、どうしたし……! ま、まさか!」 京太郎「ん……あぁ……なんか、もう行かなきゃならねえ見てえだ……」 京太郎「瞼が……どんどん重くなってきやがる……」 未春「須賀君!」 純代「ンアッ!! ンアァッ!!」ユサユサッ 京太郎「ドムさん……痛いっす」 純代「……ごめん」 文堂「す、須賀君……」ポロッ 京太郎「文堂さん……俺、もう一局くらい一緒に打ちたかったっす」 京太郎「これからも、頑張ってくださいね」 文堂「うん……うんっ……!」 池田「ぅううあぁ……須賀ァ……」ボロボロ 京太郎「吉留先輩……このバカのこと、よろしくお願いします」 未春「うん、大丈夫だから……っ……華菜ちゃんのことは任せて!」 京太郎「い、けだァ……もう泣くんじゃねえぞ……」 池田「な、泣いてないし! お前嘘つくなし!」ボロボロ 京太郎「へへ……」 美穂子「……っ……須賀……くん……」ポロポロ 京太郎「先輩……ありがとうございました……」 美穂子「す、須賀君……――――ッ!!!」 プツンッ ん……あれ…… もう終わりか……あっけなかったな…… ちゃんとお別れ……できなかった…… もっと言いたいことたくさん……あったのに…… みんな……ありがとう…… 京太郎「……ん……」 京太郎(……あれ……ゆ、夢……?) 京太郎「ふぁああ……」 京太郎(たしか……俺は……) 京太郎(……っ!!)キョロキョロ 京太郎「も、戻ってきたのか……? い、いや待て……」 「ワハハー、部室行くぞかおりんー」「智美ちゃん待ってー!」 京太郎「……ここ、どこだ?」 カン
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特別編 執事とバレンタイン ※本編との関係も一切ない特別編です。普段と違う形で書いてます ※大体色んなとこを参考にしたりイメージだったりなので、理解できるかどうかは個人差があります ※深夜テンション。ちょっと変態度高めでマニアックな内容なので、苦手な方はスルーでお願いします 2月13日 龍門渕邸 京太郎「バレンタインですねー」 ハギヨシ「えぇ、バレンタインです」 京太郎「あるところでは愛の誓いの日、またあるところでは聖バレンタインだかなんだかの命日だとか」 ハギヨシ「いいではありませんか、愛の日」 ハギヨシ「恋する乙女こそ美しい、というのは真理だと思いますよ」 京太郎「そりゃ分かりますけどねー。愛を誓う相手もいなきゃテンション上がりませんよ」 ハギヨシ「まぁそれもまた真理、それもまた宿命です」 京太郎「真理は残酷だ……そーいえば、バレンタインといえばチョコ、チョコと言ったら……」 ハギヨシ「……なるほどなるほど。チョコまみれ、裸チョコですね」 ハギヨシ「視覚的には素晴らしいでしょう。また、『私を食べて』という意味としてもまたそそられるものもあります」 京太郎「ロマンですよね。チョコと一緒に私もあげる、みたいなシチュエーション」 ハギヨシ「えぇ、ロマンです……そして、ロマンで終わらせた方がいいものでしょう」 京太郎「っ……えぇ、予想はしてました。多少なりとも料理をするものとして、分かってはいましたが……厳しいですか」 ハギヨシ「はい……衛生面ではもちろん保障できませんし、何より火傷します」 京太郎「チョコをドロドロにですからね。それなりの高温になるんですね」 ハギヨシ「えぇ……実際に仕事でプレイをしたことがある方曰く、『チョコレートが体温で温まり生ゴミのような臭いがひどかった』とのことです」 京太郎「あぁ……現実とは非常ですね」 ハギヨシ「クリスマスの二の舞になりますが、裸リボンが現実的ですね」 京太郎「ある意味緊縛プレイの一種ですからね。そのまま絡まって動けなくなって……というのもいいですよね」 ハギヨシ「それか……媚薬ですかね」 京太郎「盛るんですか?」 ハギヨシ「いえいえ。チョコレートも一種の媚薬とも言われています。実際に微量ではありますがそういう成分も含まれていると」 ハギヨシ「逆チョコと言ってチョコを送り、実は媚薬効果付きとネタバラシをする」 ハギヨシ「そのまま乱れさせ、媚薬のせいだからと言う相手に、媚薬成分は微量だと更なるネタバラシを」 ハギヨシ「ある意味テンプレートではありますが、王道こそ素晴らしい」 京太郎「あぁ最後のネタバラシの時の顔とかすっげぇいい顔でしょうね」 ハギヨシ「全くですね……さて、そろそろ焼き上がりの時間ですかね」 京太郎「えぇ、後は仕上げをするだけで明日のためのチョコケーキは完成ですね」 京太郎「さて、遠方の人達用のものも作らないと」 ハギヨシ「でしたら、少々難易度は高いですが良いものが」 京太郎「へぇ、どんなものですか?」 バレンタイン、それが素晴らしい日になるか忌むべき日になるかは人それぞれ 各々の想いを胸に、その日を迎えるだろう 当日、某男子高校生からの逆チョコで女子としての自信を失いかけた者が多数いたりしたのは、また別の話 カンッ!!
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346308252/ 己のカルマと戦う京太郎の前に現れたステルスモモ 彼女から持ちかけられた悪魔の契約に対して、決意を固めたはずの京太郎の心は揺らぐ 彼は自らの生き方を切り開くことができるのか!? 京太郎(師匠……すみません……) 京太郎(俺はやっぱり、自分の身がかわいい臆病者みたいです……) 京太郎「分かった、そちらの要求を飲もう」 桃子「あなたならそう言ってくれると思ってたっす」 桃子「合宿中は無理に行動を起こさなくて良いっす」 桃子「実際に行動に移すのは、清澄に帰ってからということで」 京太郎「分かった。しかし今は情報が足りない」 京太郎「うちの部長とそっちの先輩ってのは、一体どれくらい親密なんだ?」 桃子「……名前」 京太郎「ん?」 桃子「あの女、私の先輩を下の名前で呼びやがったんす!」 桃子「私でさえまだ苗字に先輩って付けただけなのに……」ギリッ 京太郎(こ、これは……) 京太郎(百合場面名鑑収録「下の名前で呼んで」の亜種か!) 京太郎(いやいや、喜んでる場合じゃないだろ) 京太郎(落ち着け、冷静になるんだ) 京太郎(たかが下の名前で呼ぶようになっただけで、そこまで危険な段階に入っていると言えるか?) 京太郎(下の名前で呼び合うくらいまでなら別に……) 京太郎(…………) 京太郎(かじゅ久、いや、久かじゅ……か) 京太郎(アリだな) 京太郎(部長という職務の重責……そこから生じるストレスを抱えながら部活を発展させようとしてきた二人) 京太郎(奇しくもそれぞれが在籍する麻雀部は歴史がゼロと言っても過言ではない状態の新生部) 京太郎(同じような境遇にある者同士がある日交錯したとき、物語は始まる) 京太郎(ん?鶴賀の部長はカマボコみたいな口の人だっけか) 京太郎(まあいいか、立場的には似たようなものみたいだし、やはりそこから生じる共感g) 桃子「不愉快な妄想をしているようなら、あんたにはもう用はないっす」ニコッ 京太郎「!? ち、違うんだ! 待ってくれ!」 桃子「次はないっすよ?」 桃子「とにかく、くり返すっすが方法は問わないので、可及的速やかに処理をしてくださいっす」 桃子「こうしている間にも、あの女の毒牙が先輩に迫ってるんっすから」ギリッ 京太郎(これは……マジだな)ゴクリ 桃子「最終的にあの二人の接触を断つことができれば良いことにするっす」 桃子「だけど、もしも間に合わなかったら、その時は……」ゴゴゴ 京太郎「分かってる! 分かってるからそれだけは……それだけは許してくれ…」 桃子「じゃあ、今日のところはこれくらいにしておくっす」 桃子「期待してるっすよ、須賀京太郎君?」 桃子「あ、それと、万が一先輩の着替えを覗くとか、そういうことをした場合もその場で処刑確定なので注意してくださいっす」 桃子「では」スゥ… 京太郎「ふぅ……」ドサ 京太郎(なんてことだ……まさかこんなことになるなんて……) 京太郎(どうすれば……師匠に助けを) 京太郎(いや、それだけは絶対にできない) 京太郎(俺の尻拭いを師匠にさせるなんてことは、絶対にあってはならない……) 京太郎(しかし、師匠の思いを踏みにじることも避けたい) 京太郎(くそっ……八方塞がりか…) 京太郎(……いや、待てよ) 京太郎(今のこの状況、一見すると男である俺が百合の園を土足で踏み荒らそうとしているように見える) 京太郎(しかし、今俺がそんな行動に出ようとしているのは、紛れもない百合娘・東横桃子からのアクションがあったからだ) 京太郎(実際のところこれは、百合娘が自らの願望を成就させるための手段だと考えられないだろうか?) 京太郎(ならば今の俺は、百合の舞台の上にある一つの小道具……) 京太郎(百合の花を咲かせるためだけに存在する、ひとつの背景に過ぎない) 京太郎(それならば……俺は飽くまで流れの中で求められ、使われているに過ぎない!) 京太郎(そう、主人が執事に……透華さんや衣ちゃんが師匠に命じて、師匠がそれに応えるという関係のように) 京太郎(俺が桃子さんの要求に応じるのは、何の違和感もない行動だと言えるんじゃないか!?) 京太郎「く、くくく」 京太郎(これは、むしろ僥倖かもしれん) 京太郎(行動の理由を自らの外に置きつつも、それでいて自らのためになる行動ができる) 京太郎(しかもそれは、俺自身の規範に逆らうものではない) 京太郎(いいねぇ、望むところだ) 京太郎(やってやろうじゃないか!) 京太郎(俺は舞台の上で、俺の役を演じきってやる!) 京太郎(アトモスフィア京を舐めるなよ!!) ――久主催部屋―― 久「その手を鳴かずに進められるのね…」 ゆみ「これを鳴いて和了れる相手とは思っていない」 久「あら、随分と評価してもらってるみたいね」 ゆみ「当然だ、聞くところによるとインターミドル時代も猛威を振るっていたそうじゃないか」 ゆみ「高校に入ってから麻雀を始めた私から見れば、大先輩だよ」 久「いやねぇ、そんなことまで調べてあるの? ちょっと怖くなっちゃうわ」 ゆみ「敵情視察は戦略の基本だ」フッ 久「怖いわね、滅多なことができなくなっちゃう」 京太郎(ふむ、思った以上に親密になっているようだな) 京太郎(桃子さんの杞憂というわけではなさそうだな) 京太郎(部長が加治木さんを誘った時に下の名前で呼んでるのを見て、大慌てで俺に話を持ちかけてきたわけか) 京太郎(凄まじい行動力……いや、執念と呼ぶべきか) 京太郎(しかし……) 美穂子「うえ……竹井さん」 久「うーん、ねぇ美穂子」 美穂子「す、すみません! 失礼なことを……」 久「いや、別に上埜って呼ばれるのを気にしてるわけじゃないのよ?」 久「ただ、ゆみも私のことを名前で呼んでるし、美穂子も私のことを名前で呼んでくれないかしら」 久「ほら、私も“美穂子”って呼んでるわけだしね」 美穂子「え、でも……」 久「よし、決めた」 美穂子「え?」 久「“久”って呼んでくれないなら、なんにも反応してあげないことにするわ」 美穂子「え、そ……そんな、冗談ですよね?」 久「……」 美穂子「た……竹井、さん?」 久「……」 美穂子(うぅ……) 美穂子「ひ、久さん」 久「うーん、“さ”が続くと響きが悪いわねぇ」チラッ 美穂子「そ、そんな……」 久「あーあ、さみしいなぁ」チラッチラッ 美穂子「……」 美穂子「……久」ボソッ 久「……」スッ トトト 美穂子「え?」 久「……」ギュウ 美穂子「えっ!? ひ、ひゃ」 久「なぁに、み・ほ・こ♪」フゥ 美穂子「あ、わあうああうああ」カアァァァ 美穂子(息が、息が耳に……!) 衣「おい久、対戦相手の手牌を盗み見る気か?」 久「あら、ごめんなさい。そんなつもりはちっとも無かったんだけど」 久「あんまりにも美穂子が可愛いもんだから、自分を抑えきれなくなっちゃってね?」 美穂子「うぅぅ……」 ゆみ「まったく」ニガワライ 京太郎(…………) 京太郎(たまらん) 京太郎(なんだなんなんだこの最高の桃色空間は!?) 京太郎(ってか部長! あんた最高だよ!!) 京太郎(女の子を手玉に取るすべを身につけすぎてて、逆に怖い!) 京太郎(これは間違いなく歴戦の百合娘!) 京太郎(今までも相当な数の生娘をその毒牙にかけてきたに違いない!) 京太郎(はっ!?)ピキュイィィン 京太郎(そ、そういえば、うちの部室ってやたら恵まれた環境にあるよな……) 京太郎(部員数ギリギリ団体戦に出場可能なくらいしかいない弱小中の弱小部なのに) 京太郎(しかも、中古で買っても決して安くない自動卓まである) 京太郎(ここから導き出される結論、それはすなわち……) 京太郎(百合売春!!) 京太郎(いや、実際には売春というより、何かしらの備品をかけての麻雀勝負だったのではないだろうか) 京太郎(「部員がいないからちょっとだけ付き合ってくれない?」と誘われ、軽い気持ちで部室に足を踏み入れた彼女たちだったが) 京太郎(そこで会話をしていくうちに、次第に久という存在に惹かれるようになる) 京太郎(そしてある日、部室に置く備品をかけての勝負を持ちかけられる) 京太郎(賭けられるものがないように見えることを久に伝えると、彼女は自分の躰を賭けると言い出す) 京太郎(はじめは驚いて勝負を拒否するが、あっさりと久は引き下がる) 京太郎(拍子抜けした状態で帰宅するも、ベッドの中でそのことを反芻し、勝負を受けなかったことを後悔する) 京太郎(そして翌日、放課後になると真っ先に麻雀部の部室に向かい、そこの主に「賭けをしよう」と持ちかけるのだ) 京太郎(そしてギリギリの勝負の末、見事勝利を掴み取る。高鳴る胸の鼓動) 京太郎(なんとか平静を保とうとしていると、久がゆっくりと立ち上がり、部屋の隅のカーテンをそっと開く) 京太郎(そこには真っ白なシーツがかかったベッドが。ベッドの上に腰掛け、制服を徐々に崩しながら、誘うような目つきで見てくる久) 京太郎(そして耐えられなくなった欲望がり性を粉々に打ち砕き、久の体躯を、息を荒げながら乱暴に組みしだく……) 京太郎(一度味を知ってしまったらもう後には戻れない) 京太郎(自らの私物やポケットマネーを賭けてまで戦いに挑み、徐々に泥沼にはまってゆく) 京太郎(絶妙なバランスで勝敗を調整しながら、久は彼女たちの心を弄んでいく……) 京太郎(こう考えれば、不自然なほど揃っている備品の数々、そしてあのベッドの説明がつく) 京太郎(そして和は、かつて部長が甘い声を上げながら) 京太郎(時には上げさせながらシーツを濡らしていたなどということに微塵も気づかず、そのベッドで無防備に睡眠をとっているのだ) 京太郎(…………) 京太郎(い、いかん、これは危険だ) 京太郎(平常心が保てなくなりそうだ……落ち着け俺)フゥ ゆみ「ん?」 京太郎(っ! まずい!) 京太郎(アトモスフィアモードを……冷静に……)スゥ ゆみ(…………気のせいか) 京太郎(……危なかった) 京太郎(しかし、さすがと言わざるを得ないな) 京太郎(あの桃子さんの気配を、完全に隠蔽していない状態とは言え察知できるだけ……) 京太郎(しまった、本来の目的を忘れるところだった……!) 京太郎(今は百合妄想に浸っている場合ではない。何とかして現状を打開しないと……) 京太郎(しかし、俺のSPY-Lレーダーの情報が正しければ、キャプテンはもう既に陥落しているが、肝心の部長が問題だ) 京太郎(今回のオーダーは部長を加治木さんから引き離すこと) 京太郎(最終的に部長そのものをどうにかしなければ意味がない……) 京太郎(しかし、ここに来てからの部長の姿を見る限り、彼女を特定の誰かと結びつけることはかなり難しい) 京太郎(おまけに今回は時間が限られている) 京太郎(一度この合宿が終わってしまえば、これだけのメンバーが一堂に会することは殆どなくなるだろう) 京太郎(解散してしまえば部長と加治木さんの接触自体は減るだろうが) 京太郎(もし個人的に合うといった状況になった場合、それを事前に察知するためには部長のプライベートに張り付く必要が出てくる) 京太郎(そして周囲にフレアとして使えそうな人材がいるとも限らない) 京太郎(合宿終了まであと何時間だ?) 京太郎(なにか……何かないのか……) 京太郎(師匠……俺に力を……) 京太郎(……ん? 待てよ?) 京太郎(このSPY-Lの反応……) 京太郎(はっ!?) 京太郎(そうか! この手があったか!) 京太郎(…………しかし、これは成功する確率が高いとは言えない……) 京太郎(どうする、別の手を考えるか……?) 京太郎(いや、迷っている時間はない) 京太郎(失敗すればジ・エンドだが、何もせずにいて失敗しても結果は同じだ) 京太郎(ならば、俺は全力を尽くして死ぬ方を選ぶ) 京太郎(それに、これは紛れもない百合娘からの願いでもある) 京太郎(指をくわえて見ているだけなどというのは、百合男子道に背く行い!) 京太郎(よし! 『オペレーションNH』始動だ!!) ――清澄部屋―― 和「はぁ、流石に疲れましたね」 咲「朝から晩まで打ちっぱなしだったもんね……」 咲「優希ちゃんなんか爆睡してるよ」 優希「ZZZzzz……」ホボゼンラ 和「ゆーき……なんてはしたない…」 咲「それにしても、今回の合宿は勉強になったなぁ」 和「ですね、みなさんやっぱり決勝まで残っただけありました」 咲「はぁ、京ちゃんも来れてたら強くなれたんじゃないかなぁ」 和「」ムカッ 和「もし来れていたとしても、部長の命で雑用をやって終わりだったと思いますよ」イライラ 咲「うーん、部長ももう少し京ちゃんに優しくしてあげればいいのに……」 和「」イライライライライライライライライライライラ 和「み、宮永さ」コーイーシチャッタンダ タブン キヅイテナーイデショー 咲「あ、これって」 咲「京ちゃんからメールだ!」パァァ 和「」プチッ 和「みやながさ咲「え?」 和「!」ガバッ 和「どうしましたか宮永さん!まさかセクハラまがいのメールを!」 和「前からうすうす怪しいとは思っていたんですが、やっぱりやらかしましたかあの変態!」 和「私たちの方を見てたまにニヤっと笑っていたんですよ!」 和「気持ち悪いなぁとは思っていたんですが部活の平穏を乱したくなくて今まで野放しにしてしまいました! 申し訳ありません!」 和「今すぐヤツからのメールや着信履歴を全て削除してアドレスからも消去」 和「ついでに着信拒否リストに入れて、麻雀部、いや清澄高校、いいえ長野から永久追放してしまいましょう!!」 和「大丈夫です!裁判なら両親に頼めば必ず勝てますし、宮永さんは私が必ず守りきってみせます!」 咲「え? いやそんなメール京ちゃんはしてきてないよ?」 咲「ただ、ちょっといきなりっていうか、よく分からないっていうか……」 咲「ほら、これ」スッ 和「…………え?」 和「……何ですか、これ?」 咲「私も全然分からない……」 咲「あ、も、もしかして……」 咲「京ちゃん……あの人のこと……」ジワッ 和「!?」 和(私の咲さんを泣かせるなんて…………) 和(凌遅刑が神からの祝福に思える位の罰を与える必要がありますね……!)ゴゴゴ 和「今すぐ電話して、目的を問いただしましょう!」 咲「う、うん」ピピッ 和(短縮の0番!?)ワナワナ 咲「…………電源が入ってないみたい」 和「宮永さん! こんな訳のわからないお願いなんて聞く必要ありません! もう今日は寝ましょう!!」 咲「…………ううん、行くよ、私」 咲「きっとなにかワケがあるんだよ」 咲「私は京ちゃんを信じる。京ちゃんの力になりたいから……!」グッ 和「」イライラブルブルワナワナバキバキグシャグシャバリバリゴクン 和「…………分かりました」 和「では、私もご一緒させていただきます」 和「私も(咲さんの)力になりたいですから」ニッコリ 咲「原村さん……!」 和「行きましょう、あんまり遅くなると、寝てしまうかもしれませんよ」ニコニコニコニコ 咲「うん! 行こう!」 ――鶴賀部屋―― 桃子「ん?」 桃子(この気配……) 桃子「ちょっと出てくるっす」 ワハハ「んー? あんまり遅くなるんじゃないぞー」ワハハ 桃子「はいっす」 ガチャ バタン 桃子「で、なんの用っすか? 須賀京太郎」 京太郎「今、手を打っているところです。おそらく明日出発するまでには結果が出るでしょう」 桃子「!!」 桃子(本当? ブラフ? いくらなんでも早すぎないっすか?) 桃子「合宿中は無理みたいなことを言ってたと思うんすけど、あれはなんだったんすかねぇ?」 桃子(これは警戒しなくてないけない? いやしかし……) 京太郎「俺の認識不足でした。むしろこの機会を逃すわけにはいかないんです」 京太郎「……そして、この作戦を遂行するにあたって、桃子さんにも協力していただかなくてはなりません」 桃子(きたっ!) 桃子「確かに協力するとは言ったっすけど、内容によるっす」 桃子「当然納得できる理由も話してもらわないと」 京太郎「理由までは……ただ、殆ど手間は取らせません」 京太郎「大丈夫です。俺を信じてください」 京太郎「必ず貴女の望む結果をご覧に入れます」 桃子(……話だけなら、聞いてやるっすか…) ――外―― 桃子(一応、要求されたことはやったっすけど、あれは一体何の意味が……) 桃子(あとはここで少し待てばいいって……) 桃子(少しってどれくらいなんすかね?) 桃子(一応アイツの行いの証拠は、分散して保管してあるから、今のうちに処理するのは無理っすけど……) 桃子(10分待って何も起こらなかったら、処刑確定っすね) ゆみ「……」タッ タッ タッ 桃子「……先輩?」 ゆみ「桃子」 桃子「!?」ビクッ 桃子(こ、これは……) 桃子(先輩……怒ってるっすか……?) 桃子(一体何が……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はいっす!」ビクッ ゆみ「ひとつ、聞きたいことがある」 桃子「なな、なんっすか?」ビクビク ゆみ「須賀京太郎をいう男の事を知っているか?」 桃子「!!??」ビックゥ 桃子(ま、まさかアイツ……みんな先輩にバラして……)ブルブル 桃子(こ、殺すっす!!) 桃子「な……んのことだか、さっぱりわからないっすね」プイッ ゆみ「声が上ずっているぞ」 ゆみ「その反応、やはりヤツの言っていったことは本当だったか……」 桃子(なんで、そんなに怒ってるんすか……) 桃子(なんで、そんなに悲しそうな顔するんすか……) 桃子(私のこと、恋愛ではないにしても、好いていてくれていたんじゃないんすか……) 桃子(じゃあなんで……今まで……勘違いさせるようなこと)ギリッ 桃子(あんまりっすよ……) ゆみ「桃子……本気なのか?」 桃子(……!)ギリリッ 桃子「そうっすよ! 本気っす!」ジワッ 桃子「でも何が悪いんすか! 先輩が悪いんっすよ!」ポロ 桃子「私は……私は、ただ……」ポロポロ ゆみ「……」スッ 桃子「っ! 触らないでくださいっす!!」バシッ ゆみ「」ギリッ ゆみ「桃子!」グイッ 桃子「きゃ!?」ドサッ 桃子(え? 何? 押し倒され……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はい……」 ゆみ「お前を見つけたのは、私だ」 桃子「え、あ、はい」 ゆみ「だから、お前は私のモノだ」 ゆみ「誰にも渡しはしない」ギュウ 桃子(…………???) ゆみ「私が悪かった」 ゆみ「お前は、なんだかんだでちゃんと分かってくれていると思っていた」 ゆみ「全く、笑い話にもならないよ」 ゆみ「だから」 ゆみ「しっかりと、躾てやらないといけないな」 桃子「はぇ?」 ゆみ「だれがお前の持ち主なのか」 ゆみ「心にも、躰にも」 ゆみ「刻みつけてやる……!!」グイッ 桃子「な、にを んんうぅ!?」チュウゥゥ 桃子(これは一体何がどうなってこうなったんすかぁぁぁ!?) ゆみ「ふぅ」 桃子「はぁ、はぁ……せ、んぱ」ハァハァ ゆみ「……」グイッ 桃子「や、ちょ、そこは!?」ググッ ゆみ「初めてか?」 桃子「……はぁ…? そりゃ、そうっすけど……?」 ゆみ「そうか、そうじゃなかったらモモを殺して私も死んでいたよ」 桃子「ぇ?」 ゆみ「それに、痛くなければ躾にならないだろう?」 ゆみ「一生忘れられないくらい、痛くしてやるからな」 桃子「ちょ、ま、せんぱ」 ~少し前~ ――廊下―― ゆみ「やれやれ、さすがに疲れたな」コキコキ ゆみ(しかし……楽しかったな)フッ ゆみ「…………ん?」 ゆみ(これは、なんだ?) ゆみ(押し隠したような気配……モモに近いが、違う) ゆみ(それにこの感じ……久たちと打っている時にも一瞬感じた) ゆみ「そこかっ!」バッ 京太郎「流石ですね」スゥ ゆみ「! 君は……確か清澄の男子部員」 京太郎「! これは……覚えていただけているとは、意外でした」 ゆみ「なぜここにいるんだ? 久は君を置いてきたと言っていたはずだが」 京太郎「ええ、まあちょっとした理由がありましてね」 京太郎「加治木さんに接触したのも、その理由と関係していまして」 京太郎「少しお時間をいただけないでしょうか」ニコッ ゆみ(……どういうつもりだ?) ゆみ(この男、確かに気配を感じることはできたが、まるであえて私に察知させたような、そんな不自然さがあった) ゆみ(つまり、今の今まで私にも気づかれないような状態で”何か”をしていた可能性が高い) ゆみ(それでも、犯罪行為をしようとしていたなら、気配を消した状態でいくらでも出来たはず) ゆみ(私に直接危害を加えるようなことは、今の時点でするつもりはないということか) ゆみ(……ここで誘いに乗らなかった場合、この男は再び姿を消すだろう) ゆみ(目的が全くわからないままロストするのは避けたい……) ゆみ「わかった、話だけなら聞こう」 京太郎「そうおっしゃっていただけると思っていました」 京太郎「ここでは人目につきます。場所を移しましょう」 ――外―― ゆみ「で、こんな所でしか話せないということは、なかなかに後暗い話題をしたいと見えるが」 京太郎「後暗い、というほどではありませんが……」 京太郎「大手を振って話せるものでもありませんね」 京太郎「……同じ無名校として、決勝での鶴賀の活躍には驚きましたし、素直に敬意を覚えました」 ゆみ(……? なんだ、わざわざ胡麻をすりに来たわけでもないだろうに) 京太郎「とくに、うちの原村を抑えて、副将戦で収支1位を飾った東横桃子さん」 ゆみ「……」ピクッ 京太郎「加治木さんも素晴らしい立ち回りをされましたが、やはり彼女の働きには非常に強い印象を覚えました」 ゆみ「……何が言いたい」 京太郎「そのままです。東横さんが優秀だというお話ですよ」 京太郎「原村和は去年の全中チャンピオン」 京太郎「そして龍門渕透華さんも、去年のインハイでは大いに活躍したそうじゃないですか」 京太郎「そんな二人を押しのけて、鶴賀を優勝まで後一歩のところまで押上げた彼女のような才能が」 京太郎「これを最後に終わってしまうのかと思うと、あまりにももったいなくて」 ゆみ「!?」 ゆみ「それは、どういうことだ?」 ゆみ「モモはまだ1年だ。来年も再来年も、鶴賀のエースとして活躍する」 ゆみ「ここで終わるわけがないだろう!」 京太郎「冷静に考えてみてください」 京太郎「確かに鶴賀は県予選で決勝まで上り詰め、大いに活躍しました」 京太郎「しかし、それだけで来年からも部員が入ってくれるでしょうか?」 京太郎「本当に麻雀がやりたい人なら、長野だと普通は風越に入ります」 京太郎「それに、風越は確かに名門ですが、ここ最近の2連敗は間違いなく看板の価値を落としているでしょう」 京太郎「ではほかの学校はどうか?」 京太郎「今回の決勝の4校で考えてみましょうか」 京太郎「龍門渕のメンバーは全員が2年生で、来年もレギュラーメンバーは変わらないでしょう」 京太郎「メンバーに空き枠がなく、横のつながりだけで強さを保っているところに、新入生が入るとは考えにくい」 京太郎「そもそもあのチームは学校の麻雀部というより、龍門渕さんの私設クラブとしての色合いが強いですから」 京太郎「そうなると鶴賀と清澄はですが、ここは両方共ほぼ無名です」 京太郎「目立った戦果は、今年の物のみ」 京太郎「そして、両方が無名ならば」 京太郎「『全国優勝校』という泊のついた清澄の方を、普通ならば選ぶでしょうね」 ゆみ「!!??」 ゆみ「ちょっと待て!」 ゆみ「自分の仲間に対して自信があるのは結構だが、随分と大きな風呂敷を広げるじゃないか」 ゆみ「そんな根拠の乏しい推測をもとに、うちの麻雀部を不当に低く評価するとは、君は随分恥知らずな人間のようだな」 京太郎「本当に根拠に乏しいと言えますか?」 京太郎「先鋒の片岡は、個人戦で歴代ハイスコアを出すほどの腕前」 京太郎「副将の原村は言わずもがな」 京太郎「大将の宮永は、去年のMVPである天江衣を制し、個人戦でも全国出場が決定しています」 京太郎「そして、常に収支を±0にするという驚異的な実力」 京太郎「これは個人戦でも本人の気が変わるまでやってのけていましたから、全国でも通用すると思われます」 京太郎「どんなに異常なことか、加治木さんならよくお分かりでしょう?」 京太郎「残りの二人も、ほかの3人ほどの派手なモノはありませんが」 京太郎「どちらも安定してハイレベルな試合ができるというのは、加治木さんも骨身にしみて理解しているはずです」 京太郎「ここまでの実力者が揃いながら、清澄が優勝を狙うには力不足だと思えるのなら」 京太郎「それは少しばかり観察眼というか、まあ“何か”が足りないんじゃないでしょうか」ニコッ ゆみ「君は……随分と人をからかうのが好きなようだなっ……」ギリリッ ゆみ「仮に、だ」 ゆみ「仮に来年鶴賀の麻雀部が団体戦に出られないとしても」 ゆみ「モモには個人戦があるだろう」 ゆみ「そうなれば、少なくとも彼女の才能が埋もれるということはない!」 ゆみ「彼女は、あの特殊な能力が先行してはいるが、麻雀の実力も文句のないレベルだと思っている」 ゆみ「問題は全くない」 京太郎「……東横さんは、どうして麻雀部に入ったんでしょうか?」 ゆみ「!」 京太郎「どうやら彼女は初めから麻雀部に入ろうとは思っていなかったようですよね?」 京太郎「誰かが強引に麻雀部に連れ込んだと聞いていますが」 ゆみ(この男……いったい…) 京太郎「もしもですよ」 京太郎「もしもその人がいなくなってしまったら」 京太郎「東横さんが麻雀部にいる理由、その物自体が消えてしまうということになるのではないでしょうか?」 ゆみ「!?」 ゆみ(そんな……モモが……) ゆみ(いや、そ、そんなことはないはずだ) ゆみ(…………ホントにそう言えるのか……?) ゆみ(いや、まて、相手のペースに飲まれるな!) ゆみ「どうも人の周りを嗅ぎ回るのが好きな、趣味の悪い人間がいるようだが」 ゆみ「いったい、どこからそんな噂話を仕入れてきたのかな」 京太郎「加治木さん、あなたほど聡明な方だ」 ゆみ(無視、か) 京太郎「人の気持ちに鈍いというわけでもない」 京太郎「なら、もう気づいているんでしょう?」 京太郎「東横さんがあなたに向けている感情に、ね」 ゆみ(…………っく!?) 京太郎「自らの存在を非常に認識されにくいという、あまりにも特異な体質を持って生まれてしまった、一人の女の子」 京太郎「存在を気づいてもらえないがために、誰からも必要とされることなく生きてきた」 京太郎「だがある日、そんなつまらない日常から自分のことを引き上げてくれる人が現れた」 京太郎「彼女がどれほどの喜びを感じたかは、想像に難くありません」 京太郎「そして、求められるということに喜びを感じた彼女は、恩人とも呼べるその人に着いていくことを決める」 京太郎「ですが……」 京太郎「自分を見つけてくれたその人は、自分自身が麻雀の大会に出るための頭数が欲しかっただけで」 京太郎「高校生活最後の試合が終わると、目の前から姿を消してしまう」 ゆみ「!!……ち、違う!!」 ゆみ「私はそんな……そんな道具のような扱い方をモモにしてきたことは断じてない!!」 ゆみ「モモは私の大事な……大事な仲間だ!」 京太郎「仲間……そうですよね」 京太郎「あなたから見れば、彼女は確かに大切な仲間です」 京太郎「ですが、お分かりのはずです」 京太郎「彼女が貴女との間に求めている関係は、もっと特別なものだと」 ゆみ「そ……れは」ビクッ ゆみ(たしかに、モモが求めているものはわかっている、が……) 京太郎「そして、貴女がどんなに彼女のことを大切に思っていたとしても、鶴賀を去ってしまうのは、曲げることのできない事実」 京太郎「彼女が麻雀部にいる理由を失ってしまうのも、従って事実です」 京太郎「ですから“このままでは”彼女の才能は埋もれてしまうんですよ」 ゆみ(…!) ゆみ(まさか、コイツの狙いは) 京太郎「本題に入りましょうか」 京太郎「東横桃子さんが後腐れなく清澄の麻雀部に入れるように、彼女との縁を完全に断って頂きたい」 ゆみ「ば……馬鹿かお前は!」 ゆみ「私がそんなことをすると思っているのか!」 京太郎「他のメンバーの方のことでしたら、どうぞご心配なく」 京太郎「彼女たちも、まとめて受け入れる準備は出来ていますから」 ゆみ「準備が出来ている……だと?」 ゆみ「まさかこの話、久も噛んでいるのか……?」 京太郎「おっと、この話は完全に俺のワンマン企画ですよ」 京太郎「うちの部長はああ見えて、曲がったことが大嫌いでしてね」 京太郎「おまけに頭がキレて、感も鋭い」 京太郎「部長にばれずに準備をするのは大変でしたよ」 京太郎「本当はもっと面倒な手順を踏んで東横さんに接近するつもりだったのですが」 京太郎「今回の合宿企画が持ち上がったのは本当に幸運だったというより他ありません」 京太郎「この機会を逃すと面倒なので、加治木さんには早くご決断をして頂きたいのですが……」 ゆみ「……君が清澄の戦力の増加のために、モモをうちから盗ろうとしているのは分かった」 ゆみ「しかし、君は男子部員で、女子部員の成果は直接利益になるとは思えない」 ゆみ「なのにどうしてそこまでモモに固執するんだ?」 京太郎「……正直言って、今の清澄は部長の強力なリーダーシップによってまとめられている状態です」 京太郎「飄々としていながら、彼女ほど抜け目のない人間もなかなかいない」 京太郎「うちのメンバーは、一人ひとりが優れた雀士ではありますが、部長の跡を継いで組織を引っ張っていける人間がいない」 京太郎「宮永はそもそも内向的な性格ですし、片岡は自分勝手すぎる」 京太郎「原村は信念が強すぎるあまり、狭窄な考えに陥りがち」 京太郎「染谷先輩は一番まともではありますが、いい人どまりでリーダーとしては力不足な感が否めません」 京太郎「そうなったとき、いったい誰が部の舵取りをしていくのか」 京太郎「そうなった時に、俺がその責務を引き受けようと思っているわけです」 ゆみ「随分自己評価が高いと見えるな」 ゆみ「私にはただの自惚れにしか感じられないが」 京太郎「消去法ですよ、手配の中に安牌がこれしかなかったんです」 京太郎「ともかく、俺がそうやって部をチームとしてまとめ上げていくとなれば、当然勝ち進むために何ができるのか、と考えるわけです」 京太郎「そして、まずは強力な人間の頭数を増やそうと思ったわけです」 京太郎「部内に強者が大勢いれば、内輪の練習だけでも十分技量の進歩は望めますから」 ゆみ「この陰険な謀は、全て部のためにやっていることだと言いたいのか」 京太郎「もちろん、それだけではありません」 京太郎「先程も申しましたように、清澄麻雀部は高い確率で優勝杯を持って帰るでしょう」 京太郎「そして、来年、再来年とそれを続ければ」 京太郎「史上初の3連覇を成し遂げる、ということになります」 京太郎「……今や、麻雀はこの世界で最大のゲームとなっています」 京太郎「そして麻雀強豪国である日本のインターハイで殿堂入りになるということは」 京太郎「世界レベルで実力が認められることになるでしょう」 京太郎「そうなったとき、そのチームを間接的に勝利に導いた人間も、十分すぎるおこぼれを貰えるのでは」 京太郎「そう考えたんですよ」ニコッ ゆみ(やはり私腹を肥やすことを考えていたようだな) ゆみ(しかも仲間を利用して……どこまでも下衆な男だ) ゆみ「久に……この話が知れたらどうするつもりだ?」 ゆみ「たったさっき自分で言ったばかりじゃないか」 ゆみ「久は曲がったことが嫌い、そう自分で言っただろう。短い付き合いだが、それは私もよく知っている」 京太郎「確かに多少面倒なことになりますが、問題ありませんよ」 京太郎「そもそも、この話は加治木さんに伏せたまま進めても、何の問題も無かったんですよ?」 京太郎「大切なのは“桃子”さんの意思ですから」 ゆみ(桃子……だと!?) ゆみ「キサマが彼女をその名で呼ぶな!!」 京太郎「落ち着いてくださいよ、加治木さん」 京太郎「俺があなたにこの話をしたのは、桃子さんができるだけ憂いを残さずに清澄に来れるようにしたかったから」 京太郎「俺は心の底から彼女のことを案じているんですよ?」 ゆみ「減らず口をっ……!」 京太郎「よく考えてみてください」 京太郎「一度求められることを、暖かさを知ってしまった彼女は、もはや以前のような孤独には耐えられなくなっているでしょう」 京太郎「いつ瓦解するかもわからない、風前の灯のような部活で、孤独に耐えながら暮らすのと」 京太郎「全国制覇の錦を飾る場所で、みんなから必要とされながら送る高校生活」 京太郎「どちらが桃子さんにとって幸せだと思いますか?」 ゆみ(…………) 京太郎「ねぇ、加治木さん」 京太郎「いい夢、見れたでしょう?」 ゆみ「な……っ!?」 京太郎「皆で全国を目指して走り続け」 京太郎「途中で敗退はしたけれど」 京太郎「それでも夢のように楽しかったんじゃないですか?」 京太郎「高校生活最後の、素敵な思い出は“もう出来ている”んですよ」 京太郎「ですが、桃子さんにはまだまだ未来があります」 京太郎「あなたが自分の思い出のため“だけ”に作った部活に、無理に残す必要はないでしょう?」 京太郎「彼女を夢の抜け殻に縛り付けておくなんて残酷な真似が」 京太郎「あなたにできるんですか?」 ゆみ「そ、んな……しばる、なんて……そんな…つもりは」 京太郎「加治木さん、あなたと桃子さんの関係、どうして俺が知っていたと思います?」 ゆみ「…………あ、え……?」 京太郎「直接聞いたんですよ。“モモ”から」 ゆみ「何を……」 ゆみ(何を……言っているんだ……この男は) 京太郎「話の流れで気づきませんでしたか」 京太郎「モモは、もうこの話を了解済みなんですよ」 京太郎「だから、あなたとのことも全て知っているんです」 京太郎「“モモから皆聞かせてもらいましたから”」 ゆみ(…………なんだ、なんなんだこれは) ゆみ(このおとこはいったいなにをしゃべっているんだ) 京太郎「ですから…………ぁ……」ボソッ ゆみ(え?) 京太郎「いいえ、なんでもありません。話を続けましょう」 ゆみ(なんだ、この男、一瞬むこうを見) ゆみ(!) ゆみ(モモ、と、清澄の……原村と、宮永……?) 京太郎「……こでは……ろと……あれだけ……」ブツブツ ゆみ「な、んの、ことだ」 京太郎「…………いえ、モモにはその、清澄に入ってからもスムーズに行くように」 京太郎「人間関係もある程度構築しておくように言っていたんですが……」 京太郎「できるだけ内密にしろと言ったはずなんですが……」ハァ ゆみ( ) ゆみ( ) ゆみ( ) 京太郎「ああ…………加治木さん」 京太郎「彼女はこっちに来ることを決めてからも、あなたのことでずいぶん悩んでいました」 京太郎「最後までモモの心を縛っていたのは、部活でも麻雀でもなく」 京太郎「貴女だったんですよ、加治木ゆみさん」 京太郎「だから、俺は最後の憂いを立つために、あなたにこのお話をしたんです」 京太郎「分かって頂けますよね」 ゆみ「」ガクッ ゆみ「」ドサッ ゆみ「モモ……私は…………お前……モモ」 京太郎「色よい返事を……いえ、返事は結構ですので、行動で示してください」 京太郎「失礼します」スゥ… ~翌朝~ ――車の前―― 久「それにしても、なんだかつやつやしてない?」 ゆみ「まさか、今にも倒れて眠りたい気分だよ」 久「確かに、あなたの後輩の……東横さんはそんな感じだけど……」 ゆみ「ああ、二人でちょっと遅くまで話をしていてな」 ゆみ「うちの麻雀部は来年も人集めが大変だし、そのことについて、な」 久「ふぅん……」 ワハハ「おーい、そろそろ出発するぞ。名残惜しいのはわかるけど、早く車に乗ってくれ!」ワハハ ゆみ「だそうだ。悪いがもう行かせてもらうよ」 久「ええ…………ねぇ、ゆみ」 ゆみ「ん?」 久「あんまり無理させちゃダメよ?」 ゆみ「………………善処しよう」 久(微塵も反省してないみたいね) 久(東横さんも大変ねぇ……) 桃子(痛いっす……あらゆる箇所が痛いっす……) 桃子(須賀京太郎……まさかこんな搦手を使ってくるとは……) 桃子(でも) 桃子(やっぱり、誰かに求められるっていうのは、あったかいっすね)フフ 佳織「桃子さん……? どうかしました?」 桃子「いや、楽しかったなぁって」 桃子「新しい知り合いも出来たし」 桃子「今までの私の人生じゃ、考えられないくらい楽しかったっす」 佳織「人生って……」 桃子(ん? あれは) 京太郎「」サムズアップ 桃子(……今回は感謝してやるっす) 桃子「須賀京太郎」ボソッ ゆみ「」ピクッ 桃子(あ、やば) ゆみ「モモ」 桃子「は、はいっす……」 ゆみ「今日はそういえば、午後から私の家で勉強を見てやる予定だったよな」ニコニコ 桃子「いやぁ、その、今日は疲れたから家でゆっくり休みたいかなぁって……」 ゆみ「なら、私の家に来て、我慢できなくなったらそのまま寝ればいい」 ゆみ「泊まっていってもいいしな」 桃子「き、今日は帰って撮っておいたドラマを」 ゆみ「 モ モ 」ニ゙ゴッ ワハハ「……!?」ゾク 睦月(なに!?)ゾクゥ 佳織(ひぃ)ゾクゾク 桃子「……はいっす」 桃子(前言撤回) 桃子(ちょっと……いや、かなりやりすぎっすよ…) ――清澄部屋―― ブオォォォン ブロロロロロロ 和「んんぅ……」 和(車……そうか、もう朝なんですね) 和(鶴賀の人たちが帰るんでしょうか) 和「ふあぁ」ムクリ 和(それにしても……) 和(結局昨日の須賀くんのメールはなんだったんでしょう) 和(指定した時間に指定した場所で、東横さんと親しげに話して欲しいって……) 和(何を考えていたんでしょうか) 和「?」 和(この香りは……)スンスン 和(同類――百合の香り!?)バッ 和(あっち……鶴賀の車の方から……) 和(これは……)スンスン 和(加治木さんと、東横さん……でしょうか…) 和(おかしいですね……) 和(昨日の時点では何も……) 和(あのあと、何かあったということでしょうか?) 和「…………」 ――何処かの木の上―― ハギヨシ「京太郎君……」 ハギヨシ(まさか、あそこまでのことをやってのけるとは) ハギヨシ(彼のやったことは、話術で相手を乱すだけではない) ハギヨシ(衣様が月の力を得て、卓上を支配するように) ハギヨシ(彼はこの周囲一帯の空間を、自らの気……いや、自らそのもので染め上げた……) ハギヨシ(まさか、使えるものが今の世に生まれようとは……) ハギヨシ(一体貴方はどこへ行こうというのです……) ハギヨシ(もしかしたら私は、とんでもない怪物を目覚めさせてしまったのでは……) ハギヨシ(………………) ハギヨシ(師としては失格かもしれません) ハギヨシ(しかし、私は……) ハギヨシ「見たい」 ハギヨシ「京太郎君、あなたがどんな覇道を征くのか」 ハギヨシ(あんなものを再び“魅せ”られては、どうしようもないですね) ハギヨシ(そういえば、あの方は今一体何をしているのでしょうか……) ~帰宅後~ ――木間書店―― 京太郎(今回はさすがに疲れた……) 京太郎(まさにカミソリの上を滑るような、危険な賭けだった) 京太郎(アトモスフィアでの情報収集の成果がなければ、あそこまでうまくいかなかっただろう) 京太郎(まさに日頃からの地道な作業が実を結んだと言える) 京太郎(なぜか失敗のビジョンは少しも浮かばなかったが) 京太郎(もしかしたら、咲とか衣ちゃんの感覚って、あんな感じなのかもなー) 京太郎(しかし、丸く収めるためとは言え加治木さんには随分ひどいこと言っちまったな……) 京太郎(今度会うことがあったら、ジャンピング土下座で謝る必要があるか) 京太郎(得られるものも多かったけど、やっぱりこんなことは二度とやりたくないな……) 京太郎(まぁ二人の様子はしっかりと記録させてもらいましたがね!) 京太郎(それにしても、ボロボロになったことに変わりはないか……) 京太郎「さっさと帰って」 『ひらり』 京太郎「これを読んで、癒されたい……」 京太郎(昨今、百合雑誌が増えてきている) 京太郎(まだまだマイナーなジャンルであることは否めないが、それでもこの流れは喜ばしい限り) 京太郎(中でも百合姫の他に出版されている百合雑誌『つぼみ』と『ひらり』の存在は大きい!) 京太郎(今回買う『ひらり』は、平尾先生の短編や、最近画力が向上してきた袴田先生の作品など目を離せない要素がたくさんあるが) 京太郎(なかでも俺が注目しているのはTONO先生の「ピンクラッシュ」!) 京太郎(ガチ百合娘のアタックを受けているうち、徐々に彼女のことを受け入れていくマールの姿が堪らない!) 京太郎(ただ、初期に掲載されていた小説がなくなってしまったのは残念ではあるが……) 京太郎(まぁそれより今は、さっさと家に帰ってこいつを堪能する方が重要だ!) ?「あれは……」ジー カン!
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1380058656/ 京太郎「合同で旅行ですか?」 久「そっ。全国も終わったし、ちょっとは羽目を外さないとね」 和「確かに、たまにはいいかもしれませんね。でもどこに行くんですか?」 久「ふふ……なんとね……二泊三日で、海よ!」 咲「海ですか!」 京太郎「おおっ!!」 まこ「しかし、合同っちゅう事は他にも呼ぶんじゃろ?」 久「そうね。長野からわざわざ応援しに来てくれた皆も誘おうと思ってね」 咲「わあ、楽しそうですっ」 京太郎「まじすか!!よっしゃあ!」 優希「うおーっ!!楽しみだじぇ!!」 久「だから皆、来週末は空けておいてね。ほかにも決まり次第連絡するわ」 一同「「「はーい!」」」 ―週末― ブロロロ 久「よし、バスも来たわね。皆準備できてるー?」 優希「できてるじぇー!」 咲「大丈夫です」 和「あれ?でも……須賀君が見当たりません」 まこ「京太郎は遅刻か?」 久「あ、須賀君には買出し頼んでるのよ。もうそろそろ」 タッタッタ 京太郎「遅くなってすみませーん!」 久「ほら、来た」 優希「犬ー!早く来るじぇー!」 ドサッ 京太郎「ふうっ……これ、頼まれてた物です」 久「御疲れ様。それじゃ、行きましょうか」 優希「おー!乗り込むじぇー!」タッタッタ 和「こら!ゆーき!運転手さんに挨拶でしょう!」スタスタ 咲「優希ちゃんは元気だなぁ」スタスタ まこ「ちっと静かにしてくれりゃせんかの」スタスタ 久「はいはい、ほら乗った乗った」 京太郎「了解です。それじゃ俺も」 久「え?」 京太郎「え?」 久「……?」 京太郎「え、どうしたんですか?」 久「いえ、それじゃ行ってくるわね」 京太郎「はい……あ、先乗ります?」 久「え?」 京太郎「え?」 久「いえ、ええ。乗るけど」 京太郎「?」 久「……須賀君?」 京太郎「はい?」 久「えっと、行ってきます」 京太郎「はい?」 久「留守番よろしくね?」 京太郎「はい」 京太郎「……」 京太郎「はい?」 京太郎「あの、俺は」 久「あれ……言ってなかった……っけ?」 京太郎「……」 久「……」 ダッ!! 京太郎「えっ」 久「……」タッタッタ!! ガチャッ バタン!! 久「それじゃ!御土産買って来るわね!!」 京太郎「えっ」 久「運転手さん、もう出て大丈夫です」 ブロロロロ 京太郎「えっ」 咲「えっ!?あれ!?京ちゃんは!?」 優希「ぶちょー!?犬は!?」 和「須賀君が置いてけぼりなんですが!」 久「えっとね……須賀君は留守番って事言い忘れちゃってたみたい。てふふ」 まこ「鬼じゃ!!糞鬼じゃアンタ!!」 咲「きょ、京ちゃん……」 和「あんなに楽しみそうに旅行用具買い揃えてたのに……」 久「ま、まぁまぁ!須賀君の分まで楽しみましょ!」 ブロロロ 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……部室、行くか」 ―部室― ガチャッ 京太郎「……」 シーン… 京太郎「……」 スタスタ ガラッ ストッ 京太郎「ふぅ……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「ふふっ」 京太郎(楽しみにしてたんだけどなぁ) 京太郎(親にも旅行に行くって言っちまったし) 京太郎(なんだろう……凄い虚無感だ) 京太郎「……」 シーン… 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「ふふ」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「笑えねぇ」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎(風越の福路さんとか、和とか、咲の水着姿) 京太郎(凄く、楽しみにしてたんだけどなぁ) 京太郎(何日も前から、天気予報気にして……) 京太郎(当日は何して遊ぶとか……予定立てて……) 京太郎(青い海……青い空……) 京太郎(夢にまで……見て…………) 京太郎「……」 京太郎(……ここは……部室だ) 京太郎(青い海も、白い浜辺も、水着の女の子達も居ない) 京太郎(茶色い、木造建築だ) 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……?……」 京太郎「…………!!」 京太郎「…………いや」 京太郎「いや、……いや!」 ガタッ……! 京太郎「ここは……青い海じゃないか……!?」 京太郎「……俺が今立っているのは……」 京太郎「白い砂浜じゃあないか……!!!」 京太郎「ヤッター!!」 京太郎「海だ!!!」 京太郎「ヤッター!!!!」 京太郎「ここは海なんだ!!!!ヤッター!!!!」 京太郎「そうと決まれば……!!」ダッ ガサゴソ 京太郎「早速水着に着替えるぞ!!」 ―廊下― スタスタ 一太(しまった……会長に書いてもらわないといけない書類を忘れていた) 一太(会長、全国大会終わったけど部室にいるだろうか……) 一太(まぁ居なかったら家まで届ければいいか) 一太(着いた。誰かいるかな) コンコン 一太「すみません、生徒議会の者です」 「どうぞ」 一太(野太い声が聞こえた) 一太「失礼します」 ガチャッ 京太郎「……」←全裸 一太「……」 京太郎「……」 一太「……お邪魔しました」 バタン スタスタ 一太(……悟った目をしていた……) 京太郎(何だったんだろう、副会長……) 京太郎(まぁいいや。海パン履こう) ………… ザッ 京太郎「海っっだ――っっ!!」 京太郎「ヤッホ――――――!!!!」 京太郎「くぅ~っ!!太陽に身を焼かれる様だぜ……!!」 京太郎「……潮風が気持ち良い……」 京太郎「へへっ!よし!それじゃあ」 京太郎「早速海に飛び込むか!!」 京太郎「よーし……」 京太郎「……」 京太郎「海……」 京太郎「……」 ―水道― ジャァァァァァァ 京太郎「……」 ジャァァァァァァ 京太郎「……」 ジャァァァァァァ 女子「なんであの人海パン姿で水汲んでるんだろう……水泳部かな」 女子「何か真顔で怖いね……」 ―部室― ガチャッ 京太郎「……」 ブンッ!! バッッシャァァーン!!! 京太郎「海だァ―――――――!!!!」 ピシャピシャ 京太郎「ははっ!!冷たくて気持ち良いー!!」 京太郎「潮辛くねえ!!すげえ!淡水だこれ!!」 京太郎「ほら!!皆も来いよ!!すっげえ気持ちいいから!!」 京太郎「皆……も……」ピタッ シーン…… 京太郎「……」 京太郎「……」 京太郎「……皆……」 京太郎「……おいでよ」 フルフル 京太郎「おいで……てばぁっ……!」フルフル 「……」 京太郎「……!」ピクッ バッ!! 京太郎「……!!」 京太郎「……今の……声」 京太郎「……」 京太郎「…………み」 京太郎「皆……?……居るのか……?」 京太郎「おい!皆!どこだ!?」 京太郎「どこに居るんだよ!!皆!!」 京太郎「皆!隠れてないで、出て来いよ!!」 京太郎「じゃないと、俺」 京太郎「俺……一人ぼっちに……!!」 「……」 京太郎「……!!」バッ!! 京太郎「……あ」 京太郎「…………あぁぁ……!!」 京太郎「……そこに……そこに居たのか……!!」 麻雀牌「……」 京太郎「皆ぁ!!」 スタスタ 京太郎「もう、皆ここにいたのかよぉ~!」 牌「……」 京太郎「ほら!皆も一緒に海に入ろうぜ!!」 牌「……」 京太郎「む、ノリ悪いな……」 ガシッ!! 京太郎「それっ!!」 バシャァーン!! 京太郎「ははは!どうだ?気持ちいいだろ!?」 牌「……」 京太郎「……う……わ、悪かったよ……そんな皆して睨むなよ」 牌「……」 京太郎「あーもう!!はいはい!!手を貸します貸します!!ふて腐れるなって!」 京太郎「よいしょっ……っと」 牌「……」 京太郎「悪かったってば、そんな睨むなって」 京太郎「でもほら、何人かはそのまま泳いでるぞ?」 南「……」プカプカ 京太郎「ほら。お前も泳いでみたらどうだ?」 牌「……」 京太郎「あはは、悪かった。お前カナヅチだもんな」 牌「……」 京太郎「ああ、知ってたよ。お前とは幼馴染だしな」 牌「……」 京太郎「え?あぁはいはい。お前たちも引き上げてやるって」 ヒョイッ 京太郎「全くお前はいつまで経っても高飛車でお嬢様なんだから」 牌「……」 京太郎「……そんな目してるともう一回投げ込むぞ」 牌「……」 京太郎「……ぷっ、あはは!!冗談だっての!!」 牌「……」 京太郎「えっ!?なんで次はお前が俺を睨んでるの!?」 京太郎「……ひょっとして嫉妬ぉ~?」 牌「……」 京太郎「隠すな隠すな!いやぁもてるオトコは辛いなぁ~!」 萬子「……」 京太郎「わっ!?せ、先輩!!前隠してください!!前!!」 …… スタスタ 京太郎「ふう……ちょっと泳ぎ疲れたぜ」 京太郎「あれ?」 牌「……」チョコン 京太郎「ああ、お前も休憩中なんだ」 牌「……」 京太郎「え?俺?いやちょっと泳ぎ疲れちゃってさ」 牌「……」 京太郎「しっかし……こんな大所帯じゃそりゃ疲れちまうよなぁ」 京太郎「136人も居るからなぁ」 牌「……」 京太郎「……どうした?いつもうるさいくらい元気なお前がやけに元気ないじゃんか」 牌「……」 京太郎「……何かあったのか?」 牌「……」 京太郎「元気がないのは俺の方だって?…そんなこと、ねーよ」 牌「……」 京太郎「そんなことねーって。いい加減しつこいぞ」 牌「……」 京太郎「わかったような口をきくのは止めてくれ…いーじゃねーか、お前だって楽しいんだろ?」 牌「……」 京太郎「ならそれでいいだろ。わかったならもう…」 牌「……」 京太郎「…うるせーよ」 牌「……」 京太郎「うるせえって言ってんだろ!黙れよ!」 牌「……」 京太郎「何でお前は俺に現実を突きつけてくるんだよ…頼むからもう黙っててくれよぉ…」 牌「……」 京太郎「俺はもう嫌なんだよ…こんな…報われない現実…」 牌「……」 京太郎「…ははっ、諦めるな…ってか…安っぽいセリフだな…」 京太郎「本当は青い海なんて見えてなかった…白い砂浜だってな…」 牌「……」 京太郎「全部、ただの茶色なんだよ…」 牌「……」 京太郎「わかってるって…お前にそんなことを言わせてるのだって俺なんだ…だからさ」スッ 牌「……」パタン 京太郎「もう、逃げるのはやめだ。」 タッタッタッ… 京太郎「…ん?誰かが走って…?」 ??「ふぎゅっ!」ドテッ 京太郎(おいおい…まさかな…) ??「あぅぅ…」プルプル 京太郎「やっぱりか…」ハァ スタスタ ガラッ 京太郎「よう。咲」 咲「きょおちゃあん…」グスッ ーあの後咲はやっぱり俺のことが気になってバスを降りてここまで来たわけだ。 こんなに時間がかかったのはいつものことだな。その後は特筆する事もない。ただ… 咲「なんで京ちゃん水着着てるの?」 京太郎「へっ!?あぁ、これはな…ブシツヲマルットソウジスルタメダヨ?」 咲「…何で目をそらすの?」 京太郎「ソラシテナンカ…ナイヨ?」 咲「…もう、京ちゃんは私がいないと何するかわかんないね!」フフン 京太郎「てめぇ咲!ふざけたこと言ってんじゃねえ!」グリグリ 咲「痛い痛い痛い~!!」 京太郎「ま、ありがとな…わざわざ来てくれて」ナデナデ 『if -心神喪失ルート-』 京太郎「所詮、俺は雑用係だからな…あいつらと同じなんてただの思い上がりなんだよ」 京太郎「ただ部室をきれいに、牌符を見やすいようにするだけで役に立つんだ」 京太郎「人の役に立つことは良いことだ。これをずっとやってれば誰にも嫌われないし疎まれることもない」 京太郎「あぁ、でも心は邪魔だなぁ。仕事を邪魔するのはいつも感情なんだから」 京太郎「心なんて、キエテシマエバイイノニー」 ーーーーー 久「あ、あのね須賀君…ごめんね?連絡忘れちゃってて…」オドオド 京太郎「いいですよ別に。俺は気にしてませんから。皆が楽しんできてくれたならそれで良いです」ニコッ 久「須賀君…」ウルウル 和「許してもらえて良かったですね部長」 まこ「たまには怒った方が薬になると思うんじゃがなぁ…」 優希「ま、所詮犬だからな!」 咲(なにか…おかしい…) 京太郎「どうした、咲?なんか暗いぞ」 咲「う、ううん。何でもな…!?」ズサッ 京太郎「?」 咲(何がおかしいのかわかった…今の…今の京ちゃんは…) 咲「笑ってなんか…ない…」 京太郎「…気付かれたか?まあいい」ボソッ 優希「犬!とりあえずさっさとタコスをよこせー!」 京太郎「はいはい。買ってくるから少し待っててくれよ…」タッタッタッ 優希「…んん?」 和「どうしましたゆーき?」 優希「いや、なんか…素直すぎる気がするじぇ…んー?」 和「言われてみれば…でもいつもに比べたらってぐらいだと思いますよ」 優希「…のどちゃんが言うなら多分…そうだな!」 まこ「全く…咲?おんし…泣いておるのか?」 咲「…え?」ポロポロ 優希「咲ちゃん!?」 咲「あれ?なんで…涙が…?」グシグシ 和「何か嫌なことでもあったんですか!?」 咲「わかんない…わかんないけど…止まらない…」ポロポロ ーもしかしたら、このとき私は分かっていたのかもしれない… ーもう、「京ちゃん」には会えないのだと… カンッ 『if -京子ちゃん未遂ルート-』 京太郎「……」 京太郎「……うん、分かった」 京太郎「俺だって部員の一人なんだ、と思っていたけれど。 どうやら皆はそう思っていないらしい」 京太郎「まあ、麻雀が弱いからな。仕方ないか」 京太郎「……本当にそうか?」 京太郎「皆の俺に対する態度は、もっと根本的な部分にあるんじゃないだろうか」 京太郎「……」 京太郎「ああ、そうか。俺が男だからか」 京太郎「……しょうがない」 京太郎「取るしかないか」 京太郎「えーと、確かリンゴを剥くときとかのナイフがあったはずだよな」 京太郎「……お、あったあった」 京太郎「よし、やるか。せーの」 一太(……どうもさっきのが気になる。ちょっと様子を見てこよう) 一太「あの、須賀君いるか、い…………!?」 京太郎「あ、副会長」 京太郎「すいません、今取り込み中なんで」 一太「い、いや。待て、待ってくれ! 何をやってるんだ君は!」 京太郎「邪魔しないでください! 麻雀部になるために必要なんです!」 一太「いいからそのナイフを離せ! きゅ、救急車!」 ピーポーパーポー 京太郎「……」 一太「や、気がついたかい?」 京太郎「あれ? ここ、病院……?」 一太「覚えてないのかい?」 京太郎「ええと、確か、確か俺は――――ああ」 京太郎「思い出しました」 京太郎「……バカみたいだ、俺」 一太「親御さんとは連絡がついた。もうすぐ来ると思う」 一太「それで。まあ、傷は浅かった。ちょっと痕が残るかもしれない けど、ほら、付け根の部分だしね」 京太郎「……」 一太「それで。どうしてあんなことを?」 京太郎「……自分でもよく分かりません」 京太郎「ただ、部員として扱われていない気がして」 京太郎「それは、俺が男だからって思って。それで……」 京太郎「女になれば、仲間になれると思ったんです」 一太「――須賀くん、いいかい?」 京太郎「……」 一太「ムゴいことを言うようだけど、君は彼女たちの仲間になれない」 一太「たとえ君が女になったとしても、それは変わらない。むしろ、 部の雰囲気は変わり果てるだろう」 一太「それは多分、君が望むことじゃない。君が気を遣われて、 ひたすら怯えられる毎日なんて、想像したくもないだろう」 京太郎「……じゃあ! 俺にどうしろって言うんですか!」 一太「そんなの簡単だろう、須賀くん。いいかい?」 ――部を、辞めてしまえばいいのさ―― 京太郎「……」 京太郎「……ああ」 京太郎「……そうですか。もう、それしかないんですか」 一太「ない。君がこのまま、精神を削られる毎日に耐えるなら 別だけどね。心を鉄にして、機械みたいに」 京太郎「無理です。……もう、耐えられない」 一太「退部届。書いておく?」 京太郎「……一晩考えさせて下さい」 一太「うん。どこかの部に入部するなら、問題ないよ。中途入部は 珍しくもないからね」 一太「それから……会長たちには連絡していないから」 京太郎「ありがとうございます」 その後、親がやってきて泣かれて怒られた。 申し訳ないな、と俺も泣いて謝った。 京太郎「……」 京太郎「退部か」 京太郎「……いや、でも……」 ???「なあにが「デモデモダッテ」さ。バカか、てめぇは」 京太郎「……」 京太郎・裏「分かっているだろう? お前にもう、麻雀をする理由は ない」 京太郎「そんなことは、ない」 京太郎・裏「和目当て? そんなの夏が来る前に終わった、恋ですら ない憧れだろう」 京太郎・裏「雑用係としてコキ使われることに幸せを感じる? そこまでドMって訳でもないだろ」 京太郎・裏「とうの昔に、麻雀は飽きていた。いや、諦めていただろう」 京太郎・裏「お前が麻雀部にしがみついていた理由は、ただ一つしかないじゃないか」 京太郎・裏「……咲のためだ。あいつが自分の足で立って、前に 進むためだろ」 京太郎「……」 京太郎・裏「中学のとき、あいつと知り合って俺たちは誓った。 宮永咲が、きちんと前を向いて歩いて行くために全てを捨てると」 京太郎・裏「なのに、お前はそれを中途で歪ませた。何故だか分かるか?」 京太郎「……やめろ」 京太郎・裏「やめない」 京太郎・裏「簡単な理屈さ。お前はあいつが、自分の足で立ったことを 認めたくなかっただけじゃないか――」 京太郎「やめろって言ってるだろ!」 ――初めて出会ったときのことを覚えています。 ――今にも消えてしまいそうに、儚いあの娘の姿を覚えています。 ――手を引っ張っても動かなくて。 ――だから、彼女を担いで歩き出しました。 京太郎・裏「よくあることさ。父親が、娘の結婚を認めないのと同じ 理屈でしかない。お前は単に、嫉妬しているだけだ」 京太郎「うるせえ! お前に何が分かる!」 京太郎「咲は、アイツは、俺がついていてやらないと――」 京太郎・裏「諦めろ。もう俺たちの役割は終わったのさ。 ……でも、いいじゃないか。俺たちの、俺の望みは、そうだったろう」 京太郎・裏「アイツが、俺のいないところでも立って歩けるように。 胸を張って、生きていけるように」 京太郎・裏「――そう、願っていたからじゃないのか」 京太郎「違う! 違う、違う、違う! 俺は、俺は、俺は――」 京太郎・裏「まだ分かってないのか、お前は。 咲はここで終わらない。そしてお前も、ここで終わらない。別に 死んだ訳じゃない、一つを失っただけだ」 ――失ってはならない、大切な陽だまりのような彼女を。 ――失うことを、ただ恐れたからじゃないのか。 京太郎「……」 京太郎「……ああ」 京太郎「……そうか。俺は、咲を失っていたのか」 京太郎・裏「とっくの昔にな。お前が麻雀に誘って、彼女が自分の 意志で麻雀を始めた頃に」 京太郎「振られた……いや、何か違うな。いや、振られたで 正しいのか」 京太郎・裏「それも、自分から振らせておいてだ。……だってそうだろ? お前は、麻雀なんかやらせなければ良かった。アイツは一生、 お前だけを見て生きていただろうさ」 京太郎「……そっか。これで終わりなのか」 京太郎「彼女を守り続ける日々も。彼女の傍にいる日々も」 京太郎・裏「さてな。守り続ける日々は終わったが、傍にいる日々が 終わるかは分からないぜ」 京太郎「……そんなものか?」 京太郎・裏「スゴい、我ながらこの鈍さは相当だ」 京太郎「……まあいいや。で、俺はこの後何をすればいい?」 京太郎・裏「さあな。お前が死のうが生きようが、男になろうが女に なろうが世界は続き、世界は回り、世界は動く」 京太郎・裏「だから、走るしかないんだよ。須賀京太郎」 京太郎・裏「大体お前、走ることしか能が無いんだから」 京太郎「……そうだな。明日からは何の為に進もうか」 京太郎・裏「決まってるだろ。自分の為に進め」 京太郎・裏「じゃあな、俺。もういちいち呼び出すな」 京太郎「……」 京太郎「うん。麻雀部、辞めよう」 そう決めた。 ――数日後 京太郎「お。みんな、お帰り」 咲「ただいま……ね、ねえ京ちゃん」 京太郎「おう、咲。楽しかったか?」 咲「え? あ、うん……」 京太郎「ならいいんだ」 和「……?」 和(須賀くん。何か普段と違うような……) 優希「お、おーす! 元気してたか、京太郎ー!」 京太郎「おう、色々あったが何とかな!」 優希「そっかー! ……あ、あのな。咲ちゃんとも話したんだけど、 今度一年生だけで、また海に……」 久「た、ただいま~」コソコソ まこ「お主……今更何をやっとる。大人しく沙汰を受けい」 京太郎「部長、お疲れ様です!」 久「あ、あうあう……お、お疲れ様です」 京太郎「……?」 京太郎「まあいいや。ええと、部長。こちらを受け取ってくれます?」 久「あ、うん。ええと…………た、退部、届?」 全員「!?」 京太郎「ウッス。色々と考えて、こういう結論に達しました。 あ、勘違いしないでください。今回の一件は関係ないです。 ただ、別の何かをやりたくなったんです」 咲「きょ、京ちゃん!」 優希「きょ、きょうたろお……」 京太郎「ああ、いいからいいから」 久「……」 久「……そう」 久「……そう、よね。はい、分かりました」 部長はがっくりと項垂れて、退部届に必要なサインをくれた。 京太郎「掃除は済ませておいたし、ええと……和。これいいか?」 和「あ、あの須賀くん! 辞めるって……」 京太郎「多分、この中じゃ和が一番しっかりしてるから。受け取ってくれ。 雑務関係の引き継ぎ書類」 和「……はい。ありがとう、ございます」 優希「京太郎! ほ、ほ、本気なのか!? ねえ……やだ、やだよ」 京太郎「心配するな。タコスなら、時々作ってやるから」 優希「違う! そうじゃ、そうじゃなくて……」 京太郎「……ごめんな、優希。でも、もう俺はいいんだ」 優希「……」 優希「……わたしのこと、嫌いになった?」 京太郎「まさか。お前の騒がしいところも含めて、嫌いな点なんか 一つもないぞ」 優希「……」 優希「……そっか」 京太郎「まこ先輩、色々お世話になりました」 まこ「……ん。その、部を辞めてからどうするつもりじゃ? 帰宅部か?」 京太郎「うーん、まだ決めてませんけど。何か別のことをやりたいな、 と思ってます」 まこ「そうかあ。……おんしがそう思っちょるなら、これが一番ええん じゃろうな」 京太郎「うっす。まこ先輩も、ありがとうございました!」 咲「……」 咲「……京、ちゃん」 京太郎「……頑張れよ、咲。お前は頑張れるんだから。 心配するな。俺が保証する」 京太郎「それじゃ、すいませんが。失礼します」 ガラガラガラ。 久「……」 久「……ごめんなさい。私のせいだわ」 久「頼って、縋って、背負わせて。……見返り一つ、与えなかった」 まこ「……そうかのお」 まこ「……いや、実際そうなんじゃが。どうも、京太郎はそういうもの とは違う何かが理由な気がする」 久「……」 和「ゆーき……」 優希「あ、あいつっ。あいつっ、わ、わたしのこと嫌いって言ってないよな?」 和「ええ、大丈夫ですよ。須賀くんは、多分誰も嫌いになってないと 思います」 咲「……」 咲「……やだ」 咲「やっぱり、やだ!」 ――咲。お前は走るとコケるんだから、迂闊に走るなよ。 そんな言葉を思い出す。 中学のときだったか、高校に入ってからだったか。 人生のどん底にいた私は、京ちゃんに手を引っ張られてここまで来た。 他の女子生徒にやっかまれたこともある。 金魚のフンみたいに言われたこともある。 ……それでも良かった。京ちゃんと一緒にいられるなら、 どんな扱いだって、我慢できた。 京ちゃんの傍にいることだけが、私にとっての自慢で誇りで報酬だった。 ――ああ、そうか。 でも、京ちゃんの報酬は何だったのだろう。 私に構わないでいれば、彼女なんて幾らでも作れたはずだ。 趣味の合う友達と遊ぶことも、できたはずだ。 ――私はいつだって、須賀京太郎に「縋る」だけしかなくて。 ――あの人の報酬を、一度でも考えたことがなかった――。 咲「京ちゃん!」 ごめんなさい。 咲「京ちゃん!」 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。 咲「京ちゃあん!」 ごめんなさい――――――! 京太郎「……はあ。どうした、咲」 咲「わわっ!?」ツルリ 京太郎「お、危ねえ!」 ダイブ キャッチ。 滑って転びかけたわたしを、いつものように京ちゃんはあっさりと 助けてくれた。 京太郎「……はあ、本当咲は先が思いやられる」 咲「……ダ、ダジャレ?」 京太郎「我ながら上手いだろ」 全然上手くない……。 ――屋上。 橙色の光が、運動場を染め上げていた。 野球部の声と、バットの甲高い音が、遥か遠くから聞こえてくる。 青春小説の世界だな、と私は思う。 京太郎「……で、どうしたんだ?」 咲「……京、ちゃん」 辞めないで、と言いたかった。 でも、言える権利があるはずもなかった。 今までもずっとずっと、私たちは京ちゃんを酷く扱っていた。 私はそれを、どうしてかずっと見過ごしていた。 だって、京ちゃんはいつだって――いつだって、傍にいてくれると。 そんなことを、思っていた。 京太郎「……なあ、咲。どうもお前は勘違いしているみたいだから、 言ってやるぞ」 咲「何……?」 京太郎「もう、お前は俺がいなくても大丈夫なんだ」 咲「え――――?」 そんなはずはない。 そんな訳がない。 京ちゃんがいないと、私は何もできない。 京太郎「……すまん。俺はそこまで、お前を追い込んでいたのか。 違う。そうじゃない。お前はもう、大丈夫なんだ」 ――俺がいなくても、蹲って助けを待ったりしない。 ――たとえ、何かに転ばされたとしても。 ――お前はきっと、立ち上がる。 京ちゃんは、そう誇らしげに言ってくれた。 咲「無理だよ……無理、無理、絶対無理!」 咲「私は一人じゃなんにもできない! 一人じゃ立てない、 一人じゃ歩けない! 一人じゃ、前に進めない!」 京太郎「それは嘘だ。咲、俺が手を引っ張る時期は終わった。 お前の幼年期は、もう終わったんだ」 咲「違う! 違う、違う、違う……!」 京太郎「咲、哀しいことを言わないでくれ。俺に誇らせてくれ。 お前はもう、立って歩けるようになったと」 咲「――わた、しは」 京太郎「報酬のことなら心配するな。 俺は、お前が幸せであるならそれが報酬だ。有り余るほどの報酬だ」 咲「……わたしは、前に進めるの? こんなに鈍臭くて、麻雀以外 何にもできない、こんなわたしが?」 京太郎「俺はそう、信じている」 ――誇らしげに。私の傍にいてくれた少年は、笑った。 咲「……でも、不安だよ。また転ぶかもしれない、また蹲るかもしれない。 また……」 京太郎「助け起こすことくらい、俺じゃなくてもできるさ。 重要なのは、立ってから前に進めるかどうかだ」 咲「……そう。京ちゃんは、私を信じてくれるんだね」 京太郎「――ああ。俺のことは心配するな、大丈夫だよ。 お互いに頑張ろう、咲」 ――ああ。そうか。 はらはらと、眼から涙がこぼれ落ちる。 なのに、その涙はどこか温かで。 私はようやく、宮永咲を認めることができたのだ。 ――それで、ようやく私も理解できた。 ――別れることで、再会できる喜びもあるのだと。 咲「……ねえ、京ちゃん。お別れの儀式をやろう」 京太郎「儀式?」 咲「ほら。背中向けて」 京太郎「お、おう」 戸惑う京ちゃんの背中に、私はぴったりと背中をくっつける。 咲「振り向かずに、前に進もう」 京太郎「フェンスに到着するんだけど」 咲「儀式だからいいの。京ちゃん、私、まだ自分が信じられない。 私が前に歩けるかどうか、分からない」 京太郎「……」 咲「……でも。進もうと、思えたよ。京ちゃんが保証してくれるなら、 私は前に進める」 京太郎「……おう」 咲「お互いに振り返らないで、行こう」 京太郎「そうだな」 咲「じゃあ、いっせーのー…………で!」 決して振り返らない。ただ前だけを見る。 振り返りたくなるのを堪える。きっと、京ちゃんも堪えているはずだから。 居るはずだった人が隣にいない寂しさを。 その人が保証してくれた喜びで埋め尽くす。 お互いに前に進むのだ。時に道が曲がりくねることだってあるだろう。 ――だったら。いつか、道が交わることだってあるだろう。 誓いは心臓に。想いは胸に。 私には、立って進むための足がある。 和「……」 ――私は思うのです。 ――せめて、二人が女同士であれば良かったのだろうと。 ――終生変わることのない親友でいられたのだろうと。 ――でも、咲さんと須賀くんは異性同士で。 ――恋心がヘンに絡むから、きっとこれほどややこしくなったのでしょう。 ――何より、互いに自覚はないのが最悪です。 ――だから、これで良かったのです。 ――須賀くんが咲さんを導いたように。 ――須賀くんも、きっと何かに導かれる。 ――だから、多分大丈夫。 ――前に進んでも、道を間違ったとしても。 ――咲さんの恋心は、きっと、変わることなく―― ――二年後。卒業式 髪を伸ばした。 少しだけ、化粧もするようになった。 残念なことに、胸は残念なままだったけれど。 いや、それでも、まあ、少しくらいは。 いけないいけない。 私はようやく慣れてきたスマートフォンのメールを見直し、 場所が合っているかどうかを確認する。 うん、合ってる。 ……結局、前に進む速度はのろかった。 少しだけ転ばなくなった。 少しだけ道に迷わなくなった。 少しだけ――自分に、自信がついた。 それでようやく、自覚できた。 成長することで、初めて認められることがあったのだ。 ――彼は私の初恋だった。 ――ずっと、ずっと、そうだったのだ。 ――依存することでそれを隠した。 ――自分は、彼におんぶにだっこすることでしか生きられないと。 ――そう、誤魔化し続けた。 ――それに別れを告げて、一人で前に進んだ。 ――友達から助けて貰って。道筋を教えて貰いながら、 ――前に進むことだけは、自分の力でできた。 京太郎「咲ー!」 咲「……ああ」 手を振る少年の姿は、二年前より精悍になっている。 私は、須賀京太郎が好きです。 だけど、振られても構わない。いや、泣くだろうけど。最低一週間は泣き通すだろうけど。 「それでも、人は前に進める」 この人が、そう教えてくれたのだから。 京太郎「……咲、綺麗になったな」 咲「京ちゃん、かっこよくなった」 京太郎「……じゃ、やっぱり同じことを考えていたのか?」 咲「多分そうじゃないかな。……そうだといいな」 京太郎「せえの、で言おう」 咲「そうだね。……せえの!」 オレ キミ ――須賀京太郎は、宮永咲が大好きです―― ワタシ アナタ ――宮永咲は、須賀京太郎が大好きです―― かくして、二人は共に歩き出す。 カン!
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特別編 執事とサンタ ※本編との関係も一切ない特別編です。普段と違う形で書いてます ※大体色んなとこを参考にしたりイメージだったりなので、理解できるかどうかは個人差があります ※深夜テンション。ちょっと変態度高めでマニアックな内容なので、苦手な方はスルーでお願いします 12月24日 午後11時 龍門渕邸前 ハギヨシ「どうも、少し早いですがメリークリスマス、というべきでしょうか」 京太郎「別にいいですよ。それより、こんな時間に手伝って欲しいことってなんですか?」 ハギヨシ「はい。サンタクロースになるので、手を貸していただきたいのです」 京太郎「……サンタに?あぁ、要はプレゼントですか」 ハギヨシ「話が早くて助かります。えぇ、今からサンタクロースとして、屋敷の皆様にプレゼントを配ります」 京太郎「アレですか、寝ている枕元に置いて、朝起きたら、って奴ですね」 ハギヨシ「えぇ、プレゼントを色々選んでいたら少々1人では難しくなってしまって」 京太郎「別に手伝い自体は構わないんですけど、他の屋敷の方に頼めば良かったんじゃないんですか?」 ハギヨシ「いいえ、実は今回のことは旦那様以外、屋敷の皆様は全く知らないのです」 京太郎「え?つまりマジでサプライズですか?」 ハギヨシ「えぇ。本当に予告もやらせも無しのサンタクロースです」 京太郎「……大丈夫なんですか?」 ハギヨシ「ご安心を。既に旦那様の言いつけで皆様休んでおられますし、私はこの家に仕えるもの、不法侵入にもなりません」 ハギヨシ「まぁ性の6時間真っ只中ではありますが、屋敷の外はともかく、中でそんな状況になれる方がいないのは確認済みです」 ハギヨシ「ただ、女性の部屋にも忍び込むので、そこで見つかったら少々困ったことになりますが……」 京太郎「またクリスマスにとんだスニーキングミッションを……よくその旦那様が許可しましたね」 ハギヨシ「こういうことが結構好きな方なんですよ。ほら、お嬢様の父親でもありますから」 京太郎「すっごい説得力ありますね……」 ハギヨシ「という訳でお手伝いをお願いできますか?」 京太郎「やりますとも。そんな面白そうなこと、やらない理由がないでしょう」 ハギヨシ「そう言ってくれると思っていました」 京太郎「ところで、さっきから横にあるその白い袋がプレゼントですか?」 ハギヨシ「えぇ、去年が大人しいものでしたので、今年は少々遊び心を加えてみました」 京太郎「へぇ、どんなものが?あぁ、答えられる範囲でいいので」 ハギヨシ「構いません。むしろ手伝ってもらうのですから、把握していただきたいので」 ハギヨシ「まず……男性の方には主に私のコレクションの一部です」 京太郎「そ、それは!!」 ハギヨシ「えぇ……ふふ、皆様中々いい趣味をおもちのようでして」 京太郎「なんて量のエロ本……メイドもの、主従ものは基本として巨乳眼鏡っ娘ものに露出ものに男装もの…」 京太郎「金髪ロリものに金髪貧乳お嬢様ものまでとは……」 ハギヨシ「当然メイド、主人を調教するタイプのものまで……ふふ、どれも私自ら集め、そして厳選した一品ですよ」 京太郎「そりゃ朝すぐに起きますよ。2重の意味で」 ハギヨシ「そしてこちらは女性の方へのプレゼントですが……あまり直接的なものは一部を除いて避けております」 京太郎「ぬいぐるみやマフラー……怪しげな小ビンやヨーグルトに大きいソーセージ……」 京太郎「……え?これ……下着?」 ハギヨシ「ふふ、お気づきになられましたか。それらはお嬢様、衣様、井上さん、沢村さん、国広さんへのプレゼントです」 京太郎「下着って……色々まずいんじゃないんですか?」 ハギヨシ「いえいえ……例えばこのピンクのフリル付のもの……これは井上さんへのプレゼントです」 京太郎「純さんに?……純さんのイメージに合うとは思えませんが」 ハギヨシ「ボーイッシュな娘が実は乙女チック……古くから親しまれるものです」 ハギヨシ「イメージしてください。男前な行動、しかし実は穿いてる下着は可愛らしいもの……」 ハギヨシ「普段と違うことにふとした瞬間に気付き、恥じらう……素晴らしくないですか?」 京太郎「……なんて、なんて素晴らしいんだ」 ハギヨシ「えぇ、そのためのプレゼントです。私は主や同僚とも言える方に手を出す気はありませんが、こっそり愛ではします」 ハギヨシ「そのためのプレゼントです。まだ何か問題でも?」 京太郎「ありません、ある訳がないでしょうっ!」 ハギヨシ「ご理解いただけたようで何よりです。次に、沢村さんへは、黒のTバックです」 京太郎「ほほぅ、紐ですか。ストレートにエロいですね」 ハギヨシ「えぇ。身だしなみが適当そうですが、巨乳にエロい下着、ストレートなものもいいでしょう」 京太郎「グッド!」 ハギヨシ「そして国広さんへはスタンダードで白と水色のストライプです」 京太郎「一さんにスタンダードな下着!?そんな、一さんは!」 ハギヨシ「えぇ、私服はまぁご存じの通り。主な下着も紐です」 京太郎「なら、どうしてそんなものを!?」 ハギヨシ「ふ、だからこそ、ですよ」 ハギヨシ「あえて、あえて普通の下着を付けることによって、"下着が見られる可能性"が高くなる」 ハギヨシ「普段慣れていないものを付けることによって生まれる戸惑い、そして恥じらい」 ハギヨシ「普段あんな恰好の娘が普通の恰好で恥じらう、それがいいのです」 京太郎「暗○教室で普通の恰好したビッ○先生みたいなものですか……なるほど、あえて露出を減らすことによってエロさを追及する……」 京太郎「なんて、なんてハイレベルな作戦なんだ……くっ、一さんの恥じらいとか超見てぇ!」 ハギヨシ「ふふふ、そしてお嬢様には紫にラメの入ったGストリングス」 京太郎「エロい!ストレートにエロいのきましたね!」 ハギヨシ「えぇ、目立つことがなによりのお嬢様ですので下着も派手なものを好まれます」 ハギヨシ「が、これは派手でかなりのエロさのもの。派手でもしもの時に確実に目立つでしょう」 ハギヨシ「しかしこれは露出がありすぎる、しかし派手……その葛藤」 京太郎「目に浮かびますね!下着を前に悩む姿が!」 ハギヨシ「ふふ、お嬢様がどのような選択をするか……楽しみですよ」 ハギヨシ「最後に衣様には青いスタンダードな下着を」 京太郎「スタンダードですけど大人っぽいデザインですね」 ハギヨシ「えぇ、人より少し小さい。けど下着は少し背伸びしてみたい」 ハギヨシ「微笑ましくもあり、大人の女性としての第一歩です」 京太郎「いいですね。多少アンバランスな感じもしないでもないけど、その頑張ったというのが分かるのが」 ハギヨシ「ふふ、この5つのチョイスは悩みましたよ」 ハギヨシ「おっと、長くなってしまいましたねもう。ではいきましょうか」 ハギヨシ「いざ、聖なる夜に夢を届けに」 京太郎「えぇ。いきましょう!」 これは、聖夜に起こされた奇跡のひとつ それを支えた彼らがどうなったのか、それは分からない ただ、そのプレゼントを受け取った人達に笑顔や赤面が見られたのは確かだろう カンッ!!